米シトリックス・システムズは、クライアントパソコンのサービス化に向けた認定制度を本格化させる。名称は「シトリックスサービスプロバイダー(CSP)」で、大手SIerなどグローバルで約100社が参加を表明。国内SIerも加わっており、早ければ年内にも「CSPを活用したサービスがビジネスパートナーによって明らかにされる」(米シトリックス・システムズのウェス・ワッソン・シニアバイスプレジデント)として、サービス開始に向けた準備が着々と進行中だ。
クライアントをサービス化
CSPは、SIerなどがクライアント用のアプリケーションやデスクトップをサービスとして提供することに対応する制度。複数のユーザー企業に向けてクラウドやSaaS、DaaS(デスクトップのサービス化)など、シトリックスの仮想化技術を駆使したビジネスパートナーによる多彩なサービスの創出を支援する。
DaaSを巡っては、クライアントパソコンをOSごと仮想化し、サービスとして提供する技術に長けた米デスクトーンに一部出資するなど、取り組みを加速。折しもマイクロソフトの新しいOSであるWindows 7が登場し、現在主流で2世代前のWindows XPのサポート期限を、そろそろユーザーが気にし始める時期にも差し掛かる。新しいパソコンへの入れ替えのタイミングでDaaSなど仮想化方式に持ち込むことでシェア拡大狙う。
サーバー領域ではライバルのヴイエムウェアに先行を許したシトリックスだが、クライアントは同社が強みとする領域である。また、旧来のクライアント/サーバー(C/S)方式は、パソコンの管理コストがかさむことはかねてからの懸案事項。クライアントの買い替えに合わせて「C/S型からSaaSやDaaS型を選択するユーザーが急増する」(ワッソン・シニアバイスプレジデント)と、市場拡大に手応えを感じている。
調査会社のデータをもとにしたシトリックスの試算によれば、1500台のクライアントを5年かけて順次入れ替える場合、従来方式に比べてトータルで約22%のコスト削減が可能だという。経済危機を完全に脱しているとは言い難い状況下で、ユーザー企業はITの運用コストの削減に強い関心を示す。こうしたことから、グローバル市場におけるクライアントの仮想化は、「向こう3~5年で全体の30%ほどに拡大する」と予測。CSP制度の本格化などの施策を打つことで、競合他社と差別化を図り、クライアントの仮想化市場においてトップシェアをより確実なものにする考えだ。