ダイワボウ情報システム(DIS、野上義博社長)は、ネットブックをクライアントPCに利用したソリューションで、構成機器をサーバーだけでなくストレージやネットワーク機器にまで広げることで中堅・中小企業(SMB)を中心とした法人市場を開拓する。ネットブックを使ったソリューションは競合のディストリビュータも販売を本格化しているが、DISではネットブックを核に幅広い機器を揃えることで、他社との差異化を図る戦略だ。
DISのネットブックを使ったソリューションは、クライアントPCに日本エイサーの「Aspire one」、ネットワーク機器はシスコシステムズ、ストレージはEMCジャパン、サーバーは国内外の複数メーカーなどの製品と組み合わせて販売する。シンクライアントシステムでの提供も検討する。
顧客のソリューションごとにハードウェアやソフトウェアの仕様を設定するカスタマイズセンター「DISカスタマイズセンター」を設置しており、受注案件に素早く対応する体制も整えた。
DISでは企業のデータセンター利用が増加する一方、社内文書などの容量が軽いデータは社内で保存する形態は残るため、中小規模のストレージ需要はあると分析。ソリューションで組み合わせる機器をストレージまで広げる。
ネットブックのソリューションでは、営業部員が社外で通信を使ってネットブックを端末として利用するなどの用途が想定されており、企業のシステムとネットブックを結ぶネットワーク機器も重要となる。こうした点に着目し、ネットワーク機器も用意することで、顧客に安定性が高く導入環境に合った完成度の高いソリューションとして売り込む。
低価格のネットブックをクライアントPCに利用するソリューションは、企業が低コストで導入できる反面、ディストリビュータにとっては一般的なノートPCを使ったソリューションよりも単価が低くなることが見込まれる。DISでは、ストレージやネットワーク機器を取り込むことで、1案件あたりの利益を高める狙いもある。
DISは、UQコミュニケーションズが7月に商用サービスを開始した高速無線通信「WiMAX」のMVNO(仮想移動通信事業者)として通信事業に参入。今後はWiMAXをソリューションに組み込むことで通信サービスまで提供することも視野に入れている。WiMAXは下りで最大40Mbpsと高速通信が可能。DISでは通信サービスの収入に加え、大容量回線が必要なSaaSの利用促進にもつなげる考えだ。
ネットブックを使ったソリューションでは、丸紅インフォテックがアスースのネットブック「Eee PC」と日本HPの最新サーバーを組み合わせたシンクライアントシステムの販売に力を入れる方針。今後はネットブックを使ったソリューションを巡り、ディストリビュータ間での競争が激しくなりそうだ。