日本IBMのトップソリューションプロバイダであるJBCCホールディングスグループ(JBグループ)は、中国・ASEANの成長市場へとビジネス領域を広げている。2008年に中国・大連法人の立ち上げを手始めに、上海、広州、北京、そしてタイ・バンコクと拠点を増やした。

石黒和義
董事長 海外進出を果たすSIerの多くが開発系SIerであるのに対して、メーカー販社出身の販売系SIerで本格的な海外進出を果たしたケースは珍しい。JBグループにおいても大連法人開設までは、他の販売系SIerと同様、海外進出に対しては慎重派だった。しかし、JBグループの主要顧客である中堅・中小企業ユーザーが次々とアジア成長市場へ進出していくなか、ITベンダーだけが国内に残っていては顧客の信頼を得にくく、海外へと大きく舵を切ることになる。
IBMテクノロジーに精通しているJBグループにとって、中国・ASEANに展開するIBMから協力を得られるかどうかも重要な要素となる。そこで中国をはじめとするIBM現地法人のトップと直談判に臨んだのがJBグループ前会長で中国法人の董事長を務める石黒和義シニアアドバイザーだった。「現地のIBMやビジネスパートナーとの協業を通じて、ユーザー企業の経営をITの側面で支える」(石黒氏)モデルを構築。メーカー系販社はグローバルサポートに弱いというジンクスを自ら打ち砕き、IBMソリューションプロバイダの強みをむしろ最大限に生かすことで海外ビジネスの布陣を整えた。(安藤章司)