最近は、無料公衆Wi-Fi、スマートフォンのテザリング機能、自宅やホテルの有線LANなど、さまざまな場所でモバイルデバイスをネットワークに接続できる環境が整ってきている。外出や出張の多い会社員、在宅勤務者などにとっては生産性向上や業務効率化につながるというわけだが、一方で情報漏えいの新たなルートができてしまうという課題が出てきた。そこで、アシストでは情報漏えい防止ソフト 「秘文」を中心に、ユーザー企業が社内や社外を問わずに安全なネットワークを確保できる環境を整えている。(取材・文/佐相彰彦)
ユーザー1000社を獲得した実績

中澤浩二
課長 アシストが秘文の提供を開始したのは2002年。以来、堅調に販売実績を増やして、ディストリビュータとして間接販売を中心に、今では1000社をユーザー企業として確保している。秘文は、日立ソリューションズの製品で全体のユーザー企業数は7000社程度。そのうちの15%近くをアシスト経由で獲得したことになる。日立ソリューションズにとってアシストは、秘文のトップディストリビュータといえるだろう。
着実にユーザー企業を増やしてきた理由について、中澤浩二・システムソフトウェア事業部技術統括部技術支援3部課長は、「情報漏えいを切り口に、さまざまな角度からセキュリティに関連する製品・サービスを提供してきたことによる」としている。同社は、クライアントのセキュリティ対策だけでなく、サーバー対策の製品も揃えながら、「認証基盤構築」「データ保護基盤構築」「インフラ基盤構築」などの観点から製品・サービスを提供している。加えて、「サポートに関しては、ユーザー企業と販売パートナーから高い評価をいただいている」。秘文の専任技術者を配置しているほか、自社のサポートセンターによる電話での対応、開発元の日立ソリューションズとの密な連携による問題の早期回答や修正モジュールの迅速な提供などによって、リセラーが売りやすく、ユーザー企業が安心して導入できる環境の整備がビジネスを拡大させている要因だ。
二つの情報漏えい対策を提供
アシストが秘文をベースとするビジネスの拡大を図るために現段階で取り組んでいるのは、新たな脅威から企業資産を守る二つの情報漏えい対策だ。ノートPCをはじめ、スマートフォンやタブレット端末などが普及していることに加えて、カフェや駅・空港などの無料公衆Wi-Fi、自宅やホテルのLAN環境など、今では会社員が外出先、出張での移動や宿泊先、在宅勤務など、いつでもどこでも業務ができるようになった。一方、「無料公衆Wi-Fiは暗号化していない通信が多いうえにアクセスポイントがウイルス感染しているケースが多い。また、自宅やホテルのLANは社内のゲートウェイを経由しない。ネットワーク環境が充実しつつあるものの、情報漏えいの新たなルートができているという状況だ」と、中澤課長は指摘する。そのため、秘文での情報漏えい対策を提案しているのだ。
一つ目は、秘文を使って「許可した接続先しか利用させない」という提案だ。秘文の接続先をチェックする機能で許可したアクセスポイント以外は接続を遮断する。二つ目は、「VPN以外の通信を遮断する」という提案。社外は、必ず社内のVPNサーバーを経由させることで、社内と同様のセキュリティポリシーを適用できるというわけだ。
このような提案を含め、同社では、秘文を中心とした製品・サービスの提供拡大に向けて、さまざまな提案方法を見出していく。これによって、2017年度(17年12月期)までに秘文をベースしたビジネスの売上規模を現状の2倍に引き上げようとしている。