米ベリタステクノロジーズ(ベリタス)は、初のパートナー企業向けイベント「Veritas Asia Pacific Partner Link Conference 2015」を開催した。パートナープログラムの改善など、イベントではパートナー企業への支援強化をアピール。シマンテックからの独立がパートナー企業にとって大きなメリットになる理由を訴えた。分社化を果たしたベリタスが今後どのような方向に進むのかをレポートする。(取材・文/佐相彰彦)
ビジネスの96.5%がパートナー経由
Partner Link Conference 2015が開催されたのは、2015年11月。ベリタスは、14年12月にシマンテックからの分社化を発表。約1年が経過した時期に初のパートナー向けイベントを開催した。実際に独立するのは2016年1月だが、販売パートナーにとっては、「販売支援はどうなるのか」「良好なパートナーシップを築くことができるのか」など、分社後の状況が気になるところだった。そのような疑問を払しょくするため、ベリタスにとって初のイベント開催に踏み切ったわけだ。

(左から)ジョージ・ウォン APJチャネル責任者、クリス・リン APJ営業責任者、
マーク・ナット グローバルチャネル 責任者、西村隆行 日本法人 社長 冒頭、ジョージ・ウォン・アジア太平洋地域(APJ)チャネル責任者が登壇。まずアピールしたのが、「ビジネスの96.5%がパートナー経由」ということだった。「プラチナ」「ゴールド」など優良なパートナー企業をワールドワイドのさまざまな地域で確保し、14年に統合型バックアップアプライアンスで成長率20%を果たすなど、順調にビジネスが推移していることをアピールした。さらに「売上全体の4.5%をパートナーに投資する」とウォン・チャネル責任者は説明。加えて、「新しいパートナープログラムを提供する」と公言した。続いて登壇したクリス・リン・APJ営業責任者は、「(情報管理市場という)メインに捉えているマーケットは、年を追うごとに伸びており、そのなかで、シェア1~2位を確保しているのがベリタスだ」と述べた。
18年に240億ドルの市場規模に
バックアップソフトを中心とした情報管理市場は、ワールドワイドで13年に120億ドル規模だったが、18年に180億ドルまで拡大するとの予測がある。次に、マーク・ナット・グローバルチャネル責任者が登壇して「ベリタスは、技術革新によって市場の創出を続ける。具体的には、18年に新たに60億ドル規模の市場創出を行って、240億ドル規模の市場まで拡大させる」とした。必要な情報を必要なときに保存されている場所に関わらず引き出すことができる「INFORMATION AVAILABILITY」の観点では、バックアップリカバリ「Veritas NetBackup」とビジネス継続性や災害対策を切り口にストレージ管理が可能な「Veritas InfoScale」の2製品でそれぞれ新バージョンを発売。また、ビジネス拡大の判断材料として情報を把握・活用する「INFORMATION INSIGHT」という観点では、ファイルガバナンスを実現する「Veritas Data Insight 5.0」を発表している。ナット・グローバルチャネル責任者は、「分社化による選択と集中で、伸びる市場領域の製品・サービスに絞ることを実現している。パートナーにとっては、売りやすい環境が整ったと自負している。そのなかで、それぞれのパートナーの売り方が価値になると確信している。適したパートナーに、適した投資を行っていく」との方針を示した。
パートナープログラムについては、これまでパートナー企業から挙がってきた声を反映させて支援を強化。とくに、Veritas製品の販売に重点を置いたパートナー企業に対して、高い報奨金を支払う制度に改善した。具体的には、案件登録額の上限を50万ドル(日本円で6000万円相当)から100万ドル(同1億2000万円相当)に変更。Veritas製品を使った大規模案件の獲得が狙いだ。「ベリタスだけでなくパートナーも変わらなければならない」(ナット・グローバルチャネル責任者)としている。日本市場でも適用し、「大企業をユーザー対象に据えているケースが多いことから、日本のパートナーにとっては大きなメリットになる」と西村隆行・日本法人社長は捉えている。
さらに、カンファレンスではSIerやディストリビュータだけでなく、クラウドサービス事業者とのパートナーシップを組むためのプログラムも発表。ベリタスが既存のパートナー企業との協業を強化することに加えて、新しい分野のパートナー企業も獲得していこうとしている姿を、今回のイベントでは垣間見ることができた。