【上海発】アビームコンサルティング(岩澤俊典社長)は、中国の子会社を再編する。中国国内ビジネスを展開する徳碩管理咨詢(上海)(ABeam Consulting China、中野洋輔 大中国区董事長兼総経理)が、アビームシステムズ(小幡哲丈社長)の中国法人でオフショアビジネスを展開するABeam Systems Information Technology(ABS-IT、前田淳一郎総経理)の株式100%を取得し子会社化。深センを拠点とするABS-ITを傘下に組み込むことで、ABeam Consulting Chinaは華南エリアでの体制を強化し、さらなる事業拡大につなげる。(上海支局 真鍋 武)

 子会社再編を通じて、中国国内ビジネスを本格的な成長軌道に乗せる。これに伴い、ABS-ITは徳碩管理咨詢(深セン)に社名を変更。中野董事長兼総経理は、同社の董事長を兼任する。法的な手続きは申請中(3月3日現在)だが、昨年11月から一体運営を進めている。中野董事長兼総経理は、「これまでは、上海から出張ベースで華南エリアの案件を手がけていたが、今後は現地でサポートができるようになる」と話す。
 

徳碩管理咨詢(上海)の中野洋輔 大中国区董事長兼総経理(右)と
徳碩管理咨詢(深セン)の前田淳一郎総経理

 実は、ABeam Consulting Chinaでは過去2年間、収益構造の再建に向けた改革を推進してきた。2004年設立の同社は、もともとローカル企業を中心に開拓し、14年まで売上高2ケタ成長を続けるなど、急速に業容を拡大。その反面、コスト競争に巻き込まれ、不採算案件やサービス品質の低下が発生し、収益率も落ち込んだ。そこで15年、新たな経営トップに就任した中野董事長兼総経理は、従業員数を従来の半分以下の100人程度に削減する事業改革を実施。同時に、ターゲット層を見直し、工数・タスクなど、無理のない提案をすることで、日系・欧米系・ローカル系の各顧客に対して高品質のサービスを提供する路線に舵を切った。その結果、16年度(16年12月期)は業績が改善。人員稼働率が向上し、「一定の収益を確保できる状況になった」(中野董事長兼総経理)という。

 とくに、日系企業からの引き合いが増加し、16年度の売上比率では日系が約60%に拡大している。最近では、上海虹橋国際空港で大型広告を掲載するなど、認知度向上に向けた精力的なマーケティング活動を展開。非日系ビジネスでは、アクセンチュアやIBMが競合となるが、日系ビジネスでは競合が少なく、中野董事長兼総経理は、「(日系コンサルティングファームとしての)当社の存在自体が、他社との差異化要因になっている」と話す。

 今回、事業改革に一定のめどがついたことを受けて、体制を強化。その一環として、ABS-ITを傘下に組み込む。同社は、アビームコンサルティングの子会社のアビームシステムズの中国法人として07年7月に設立。約80人の従業員を抱え、製造業を中心に、オフショア開発や保守サービスを展開してきた。その一方、特定の大手顧客が開発を中国外に移管する方針を示すなど、「オフショアビジネスには限界を感じていた」(前田総経理)ことから、近年は中国国内での外販体制を強化。2年前は売上高の約80%がオフショアビジネスによるものだったが、「現在は50%を切るまでに事業モデルを転換してきた」(同)という。

 今後は、コンサルティングファームとしての特性を生かし、グローバルで蓄積してきたナレッジや豊富なテンプレートを強みとするほか、商材のラインアップも拡充。17年初には、各業界・業種向けテンプレートや業務アプリケーション群を、クラウドベンダーの基盤上で提供するSaaS型サービス「ABeam Cloud」の本格提供も開始している。中野董事長兼総経理は、「ABS-ITとの一体運営によって、当社は合計200人強のコンサルタントを抱える。17年は業績をさらに大きく伸ばしたい」と意欲を示す。