東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G、大澤正典社長)の株主構成が大きく変わった。もともとの親会社で、直近の筆頭株主だった東洋エンジニアリング(東洋エンジ、中尾清社長)、さらには大株主だった野村総合研究所(NRI、此本臣吾社長)が全株を手放し、NRIとB-EN-Gは業務提携も解消した。一方で、B-EN-Gとつきあいの深いITベンダー複数社が新たに大株主に名を連ねることになった。東洋エンジの産業システム事業本部を源流とし1999年に独立した同社にとって、大きな転換点となる。(本多和幸)

 今回の株主構成の大幅な変更の発端となったのは、B-EN-Gの32.4%の株をもっていた東洋エンジが、B-EN-Gの株を手放す決断をしたことだ。東洋エンジは今年2月、米国向けエチレン製造設備プロジェクトの工事コスト増と工事進捗率の低下により、2018年3月期の業績が計画よりも大幅に悪化する見込みであることを明らかにした。営業利益は従来の見通しよりも245億円減となり、最終的に連結で180億円の赤字になる見込みだという。同時に4月1日付で永松治夫常務執行役員が社長に就任する人事も発表しており、中尾社長が引責で取締役に降格(6月末で退任予定)するという事態にまで発展した。そのため、B-EN-Gの全株を売却して応急手当する方針を固めた。18年3月期連結決算に売却益20億円を特別利益として計上する。

 B-EN-Gが東洋エンジから株式売却の意向を伝えられたのは17年12月のことで、今年に入り、14.0%の株式を保有していたNRIからも資本業務提携解消の話が持ち上がった。表向き、この二つの動きは独立したもので直接の関連はないが、いずれにしても、B-EN-Gとしては早急な対応を迫られたかたちになった。B-EN-Gは「mcframe」シリーズをはじめとするパッケージ販売が好調であることに加え、IoTソリューションの開発・拡販にも注力しており、国内外で大きく成長を図ろうというタイミング。同社の経営戦略を理解してくれ、シナジーを出せる企業と広く資本関係、協力関係を結ぶべく奔走したという流れだ。

 結果として、株価に大きな影響を与えることなく株主構成の変更を済ませるべく、2社が保有していた株はB-EN-Gの協業先や取引先複数社に立会外取引で売却された。新たな主要株主の構成は、もともとB-EN-Gの14%の株式をもっていた図研が筆頭株主に繰り上がり、新たに三谷産業が12.4%、ウイングアーク1stが8.0%、インテック、キヤノンITソリューションズが6.0%、テクノスジャパンが3.0%、テラスカイとアバントが0.9%、日本コンピュータシステムが0.3%を保有するかたちになった。また、B-EN-Gは上限8.0%の自社株買付も行う。

 B-EN-Gは東洋エンジとの資本関係が消滅することになるが、もともと同社との取引規模は全体の2%程度で、業績に影響はなく、「協力関係は変わらない」という。社名についても、当面は変更の予定はない。また、新たに主要株主となった各ベンダーについては、「海外ビジネスでシナジーが出せたり、ソリューション連携の価値をさらに高めていけるという期待がある。戦術は多少変わるかもしれないが、ものづくりIoTで成長を目指す戦略は変わらない」(同社)としている。ただしB-EN-Gは、日本を代表するプラントエンジニアリング会社である東洋エンジに出自をもつことを大きな強みとして前面に打ち出してきた会社でもある。大澤社長もIoTソリューションにおける同社の競争力の源泉について、「プラントはIoTの塊であり、われわれのDNAに最初から組み込まれている」と説明している。東洋エンジから完全に独立したB-EN-Gが、アイデンティティをどう再定義し市場に発信していくのかも注目される。