米オラクルがクラウド市場で存在感を高めている。4月28日には米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZVC)のウェブ会議システム「Zoom」のインフラとして同社のIaaSである「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」が採用されたと発表。5月8日には同社のクラウドサービス群「Oracle Cloud」東京リージョンと「Microsoft Azure」東日本リージョンの相互接続を開始したことも明らかにした。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりテレワークが拡大する中、遠隔会議システムの需要が急激に高まり、ZVCはその象徴的存在としてユーザーを急増させた。一方でセキュリティやプライバシー保護に関する課題も相次いで顕在化し、4月にはエリック・ユアンCEOが「6月末までZoomの新機能開発を凍結し、安全性、信頼性、プライバシー保護機能の向上に全ての開発リソースを投入する」と表明する事態になった。

 ZVCによるOCIの採用は、急激な成長に対応したサービスの信頼性・安定性確保を目的としたもの。これまでZVCは、AWSやAzure、プライベートクラウドを組み合わせてサービスのインフラを構成していたが、ここにOCIも加えた形だ。オラクルとZVCは3月16日にOCI上でのZoom提供に向けて準備を開始し、数日後にはサービスを開始した。

 ユアンCEOは「急激な成長によりサービス提供能力の拡大が必要になった。複数のプラットフォームを調査したが、キャパシティを迅速に拡張し、新規ユーザーのニーズを満たす上でOCIが有益だと判断した」とコメント。OCIがエンタープライズのワークロードに最適なクラウドとして設計されたことや、オラクルがこれまでデータベースなどエンタープライズへのサポートなどで豊富な実績を持つ点を特に評価したという。

 また、オラクルとマイクロソフトは昨年6月、Oracle CloudとAzureを相互接続し、両社のクラウドサービスをシームレスにつなぐ環境を拡充していく方針を発表した。「ミッション・クリティカルなエンタープライズ・ワークロードの移行、展開が可能となるクラウドの相互運用性」を確保する取り組みの一環としているが、これを両社の国内リージョン間でも実現した。

 低遅延での相互接続が可能になり、例えばOCI上の「Oracle Autonomous Database」や「Oracle Exadata」などのデータベース・ソリューションと接続するエンタープライズ・アプリケーションをAzure上で実行したり、Azure IoTサービスや「Oracle Digital Assistant」などのクラウド・ネイティブ・サービスを活用して既存のアプリケーションをモダナイゼーションするといった活用方法が考えられるという。また、両者の相互接続ではIDとアクセス管理も統合でき、「オラクルとマイクロソフトの共通の顧客に対して、クロス・クラウドでより高度で柔軟な選択肢が提供できる」としている。(本多和幸)