トレンドマイクロ(エバ・チェン社長兼CEO)は5月27日、2020年の日本市場向け事業戦略説明会を開催した。大三川彰彦副社長は、最近の顧客を取り巻く環境変化の中で、セキュリティの観点では「クラウド環境における脆弱性や設定の不備を悪用したサイバー攻撃、家庭のネットワークを利用した在宅勤務による企業のセキュリティリスク、工場のスマート化に伴うサイバー攻撃など、さまざまな課題がある」と指摘。こうした背景のもと、三つの重点分野を設定して製品ラインアップを強化していく方針を示した。

 一つめが、「DXを推進するクラウドセキュリティの拡張」。大三川副社長は「DX成功のカギはクラウド活用による効率化と迅速性」にあり、「セキュリティが担保されればDXは加速する」と説明する。そこで、多様化するクラウド環境を保護する六つのソリューション群「Trend Micro Cloud One」を6月1日から順次提供する。仮想マシン、ネットワーク、コンテナ、クラウドストレージ、サーバーレス向けのセキュリティに加え、クラウド環境の設定不備を検知し、PCI DSSやGDPR、NISTなど主要な業界のセキュリティ基準への対応を支援するサービスを提供する。

 二つめが、「SaaSモデルへの移行加速とクロスレイヤーで脅威を検知し対処するTrend Micro XDRの提供」。同社では、エンドポイントセキュリティの「Trend Micro Apex One SaaS」をはじめ、サーバー、メールなどのセキュリティをSaaSで提供し、製品間の連携も可能にしている。大三川副社長は、SaaSには運用の自動化による作業負荷の軽減や、クラウドでの一元管理ができるなどのメリットがあると話し、「今後もSaaSラインアップの拡充とさまざまな製品連携を充実させていく」としている。

 さらに「従来エンドポイントで提供してきたサイバー攻撃の事前予防(EPP)と事後対処(EDR)をメール、サーバー、クラウド、ネットワークに拡張し、Trend Micro XDRを提供する」と説明。各SaaS製品のログをクラウド上に集約し、脅威インテリジェンス「Trend Micro Smart Protection Network」を活用して相関的に分析する。攻撃の全体像や対処が必要な対象を管理コンソール上で可視化し、迅速なインシデント対応を支援する。顧客企業が利用するSIEMやSOARとのAPI連携も可能だという。

 三つめの重点分野が、「IoT関連ビジネスの推進強化」だ。家庭向けの「コネクテッドコンシューマ」と、「コネクティッドカー」「スマートファクトリー」の3領域に引き続きフォーカスする。コネクテッドコンシューマでは、通信事業者が家庭での安全なインターネット利用を実現するためのSaaSプラットフォーム「Trend Micro Consumer Connect」の提供に力を入れる。コネクティッドカーでは、車両、ネットワーク、バックエンドをカバーする製品群や車両向けセキュリティオペレーションセンター(VSOC)向けソリューションを自社の脅威インテリジェンスと連携させて展開する。スマートファクトリーでは、トレンドマイクロとMoxaの合弁会社であるTXOne Networks製品の出荷を1月に開始した。また、パートナーとの連携によるIoT向けマネージドサービスや、5G向けソリューションの提供を推進するとしている。(前田幸慧)