玄人志向は、サポートなしの売りっぱなしベンダーという印象だ。しかし実は、そうとも言い切れない。ユーザーズグループの育成とウェブを利用した企画開発が躍進の原動力になっている。
「競合ひしめく自作パソコン市場への参入を考えたとき、サポート費用を削り、価格で勝負をかけるしかなかった。そこで、自作界のオピニオンリーダーを集め、サポート掲示板を通じ応援してもらえないかとお願いして回った。彼らの協力を得ない限り、絶対に失敗する」
そう考え、ユーザーズグループの育成に力を入れた。新しい商品の企画は、誰でも参加できる掲示板の議論のなかから飛び出させるようにした。
「競合他社に開発情報が筒抜けになるが、気にしても仕方がない。利用者の要望を1日も早く実現するのがわれわれの仕事。今後も毎月1機種程度、ユーザーの夢を現実のものにする」
二松主幹自身、年間200万円ほど自作パソコンに注ぎ込む玄人の一人。
「車のエンジンやマフラーを改造する人がいるでしょう。自作パソコンもカーマニアと似たところがある。既成概念を自力で突き崩し、限界を超える…。ワクワクするんですよね。最近も30万円のデュアルCPU一式と、10万円分のラムバスメモリを買った。将来は、玄人志向だけで世界最高・最速のパソコンが組めるようにしたい」
プロフィール
二松 光 (ふたまつ あきら)1973年、長野県生まれ。95年、武蔵野工業大学卒業。同年、メルコ入社。01年7月、アクセラレーター事業部長を最後に退社。以後、CFD販売で玄人志向を手がける。今年度(02年3月期)玄人志向事業で13億円を売り上げる見込み。直近の月商は約3億円に拡大。取り扱い販売店は60社に増えた。