「万人共有の数字をお金にかえる」
ネットベンチャーがこう言えば、まるで錬金術のように聞こえるが、実は違う。数字をURLに変換するサービスで今年度(02年3月期)4億5000万円(前年度比275%増)を売り上げる、歴とした成長株。「ITバブルだ、IT不況だと言うが、ネットベンチャーはようやく夏休みが過ぎ、文化祭も終わり、大学入試に向かおうとする高校生のようなもの。これからひと皮もふた皮もむけて、ほんとうに芯があるベンチャーが花開く」
数字にあれやこれやと付加価値をつけ、サービスづくりに余念のない岩田さんは思う。大分を出て、大学は広島。卒業後に上京した時も、多くの友人と離ればなれになった。新しい土地には知り合いがいない。今の友人のうち8割がネットで親しくなった。読書好きやベンチャー仲間など、趣味を同じくする友人たちをネットで見つけた。「電話番号を入力すると、その企業のURLにつながるのはどうだろう。懸賞番号を集めた雑誌をつくるのは?」
そんなことを考えているうちに、「万人共有の数字も、ネットもどこか似ている」と思った。「どちらも道具に過ぎないが、工夫次第で大きな価値を生み出す。工夫とアイデアを生み出すのはベンチャーの醍醐味。だから、ネットベンチャーは高校生であり、変幻自在で、柔軟で、面白い」
プロフィール
岩田賢子(いわた のりこ) 1971年、大分県生まれ。94年、広島大学文学部卒業。ソフト開発などを経て、00年、インターネットナンバー入社。140は石丸電気、34は三洋電機。1312はイサイズなど、間違いやすいURLアドレスの代わりに数字を入力するだけで、ホームページにアクセス可能なサービスを提供。電話番号とURLとのリンクも可能。携帯電話では抜群の利便性を発揮する。来年度(03年3月期)に売上高8億円、単年度黒字化を見込む。海外へも進出中。