「今のビジネスにこだわっていては何もできません――。成長途中の企業にはあらゆる可能性がある。日々の業務のなかで知識を蓄積し、1年後、2年後には、まったく新しい展望が見えてくるはず」インフォプラントは、96年の設立から4年間、年商1億円を上回ることがなかった小さな編集プロダクションだった。00年、ネットを使った生活者調査のビジネスに業態を変えてから売り上げが急増。繁田さん自身は、大学在籍中の99年からインフォプラントのビジネスに合流。ネット調査事業の立ち上げに参画した。当時、海外旅行の延長線上で、インドに旅行会社の設立を試みるなど、好奇心に溢れる学生だった。
これまで「将来の展望はなんですか」と聞かれても、「そんなのありません」と答えてきた。「展望を描き始めたら、たくさんありすぎて今の仕事に手が着かなくなる」からだ。「コツコツと積み上げていく先に、これまで見えていなかった何かが見えてくる。今、成長途中のインフォプラントが、まさにそうだ」と、自分の成長と会社の成長とを重ね合わせる。「いずれは海外で成就したい。世界展開するなかで、国内のこれまで見えていなかった部分が見えてくるはず」と、現業にこだわらない、まっすぐな感性で荒波を乗り切る。
プロフィール
(しげた なほ)1975年、愛知県岡崎市生まれ。01年、東京大学教育学部卒業。99年からインフォプラント事業に携わり、現在、情報システム担当役員。今年度(02年12月期)の売上は前年比61%増の10億円を見込む。ネット調査事業で初の単年度黒字化を達成する見通し。