「海外の学生は必死になって勉強している。そんな彼らを相手に、世界という舞台で闘わなきゃならない。日本の学生にこうした自覚はあるのか」次世代産業に乗り遅れる日本、国内企業の衰退、少子化で大学経営も行き詰まる…。危機感が渦巻く。そこで立ち上がったのが、早稲田大学の産学共同事業「デジタルキャンパスコンソーシアム(DCC)」だ。99年からの第一次計画を引き継ぐ形で、今年4月、第二次DCC(3か年計画)が始動。NTTコムウェア、日本IBM、NEC、松下電器、横河電機などが幹事を務める。
「私たち企業人が世界の企業といかに闘っているか。苦戦している現状を学生に認識してもらいたい。まず、海外の一流大学と共同で遠隔講義をする。そこから、彼らの努力ぶりを体験する機会をつくる」敵を知ればこそ士気が高まるというもの。象牙の塔よろしく、実学主義の民間企業を嫌うお偉い先生もいる。だが、大学の経営層は危機感が強い。「民活を利用した改革に協力的」だという。一方で、どこかの大企業が北京大学のどこかの研究室と通じ合う。これはよくある話。
「企業は、世界で闘える人材が必要なんです。だったら、こそこそせずに、自分たちが堂々と大学に乗り込んで人材を育てよう」学生時代はチアリーダーに没頭した。筋金入りの応援団員だ。今は企業人として、学生たちを焚きつける。
プロフィール
(まつい みき)1966年、名古屋市生まれ。高等学校在学時に1年間の交換留学で渡米。立命館大学文学部卒業後、91年にNTT入社。97年、NTTコムウェア米国支店(加州)赴任。00年、インパク協会に出向。02年、NTTコムウェアビジネスイノベーション本部ビジネス企画部担当課長。4月から早稲田大学に出向。