日本生命時代、投資事業を担当していた。「小さなお金にこだわるのは時間の無駄だからと切り捨てていた」という巨額なお金を動かすビジネス。ところが、現在運営する価格比較サイト「パソconeco」は、小さな利益にこだわるパソコン販売店と連携したビジネス。全く異なる世界に身を投じたのは、「自分にリアルビジネスの経験がないことが不満だった」から。
いくら巨額のお金を動かしていても、実際の会社の仕組みとはかけ離れた投資の世界だけでは、「非常に世界が狭い。むしろ、小さくても会社の経営に直接携わっていく方が学べることが大きいのではないかと考えていた」という。今、社長としてビジネスに直面していると、細かい利益にこだわるパソコン販売店の姿勢には、「そのしたたかさは、学ばせてもらう部分が大いにある」と感じる。
パソconecoは、米国のビジネススクールに留学していた時代から、「やりたいと思っていたビジネス」だった。それだけにネットビジネスやベンチャーへの逆風が吹いても、「資金集めが大変だったりと、確かに厳しい状況だと思う。しかし逆にライバルが出て来にくいなどプラスでもある」と前向きに捉える。今後の目標は、パソconecoを価格比較サイトのなかでナンバーワンサイトとすること。「そのためには、まだやることは多い」とリアルビジネスに取り組む。
プロフィール
(しばた けんいち)72年、大阪府生まれ。95年、東京外国語大学スペイン語学科卒業。同年、日本生命保険相互会社に入社。国際投資部で、外国株式とファンドの投資関連業務に従事。98年、日本生命を退社、ハーバード大学経営大学院に入学。00年5月、ベスタグ設立。00年6月、ハーバード大学経営学修士(MBA)取得。ベンチャーキャピタルを経て、01年1月、ベンチャーリパブリック設立。