マレーシアで化粧品の販売セミナー、商品セミナーを開いて拡販に努めた。帰国後は、会社の多角化経営により、パソコンの訓練用ソフトをパソコンができない人に売り込んだ。学校を出てから広告制作の下積みも含めて丸20年間、仕事一筋で黙々とやってきた。原価100円のものを1万円で売る化粧品業界で、拡販のためのセミナーを開くのは疲れる。
「ほんとうにこんなことを続けていていいのか」仕事の自信が揺らぎ、失望した。会社を辞めた。2年間の休養で見つけた答えが原点回帰だった。「美しくなるには、表面を装ってもダメ。化粧品は全国5000社あると言われる中小下請け工場に安くつくらせているだけのもの。だったら体の内側から整えるサプリメント(栄養補助食品)を自分の手で工場から直接仕入れて、ウェブで安く売ろう」
サプリメントの下請け工場は全国に約1000社。このうち、自社で開発能力のある元気な工場から支援を取りつけ、この9月にウェブ通販サイトを開いた。「今後は、同様の手法で品揃えを増やし、下地クリームなどの基礎化粧品や使い切りコンタクトレンズなども始める。将来的には年商50億円を目指す」と、ムクムク闘志がでできた。失望した化粧品業界と一線を画すビジネスモデルを創れるか――。米井さんの挑戦が始まった。
プロフィール
(やない くみこ)1957年、神奈川県生まれ。80年、武蔵大学人文学部卒業。広告制作などを経て、90年、化粧品メーカー入社。96年からマレーシアで化粧品の販売促進を担当。00年、化粧品メーカーを退社。02年4月、起業。同年9月からサプリメント(栄養補助食品)のウェブ通販を始める。