陶器の器にミルクを注いだイメージ――。最新型パソコン「LaVie N」で勝沼潤氏が狙ったデザインコンセプトの1つだ。NECが投入した冬モデルは、「NECらしからぬ」テザインが目を引く。そのなかでも、冒険的なデザインに挑んだLaVieシリーズを担当したのが勝沼氏だ。
新製品すべてのデザインの軸となっているのは、LaVie L。同じデザインコンセプトは過去2回に渡って本社に提案しているが、1度も採用されなかった。だが、今回に限っては「いけるかもしれない」と思った。「NECカスタマックスが、カテゴリー別の製品化を進めるなど、新たな考え方を始めた。もともとデザイナーは、用途、利用シーン、利用層を明確に定義してデザインを行う。その点では、デザイナーの意向が反映されやすくなった」
過去には、自らも万人受けするデザインに走りがちだった。だが、もうその意識は一切消えた。それは、LaVieのロゴまでを変えた点でも明らかだ。「このデザインには、従来のロゴはしっくりこない。どうしても、過去のイメージを断ち切りたかった」デザイナー主導のロゴ変更は初めてだ。勝沼氏の自己採点は厳しい。「50点。まだまだ実現したいことがある。これからですよ」点数とは裏腹に、その言葉には自信がみなぎっている。
プロフィール
(かつぬま じゅん)1966年、東京都生まれ。89年、多摩美術大学卒業後、NECデザインセンター(現NECデザイン)入社。パソコンや各種業務向け端末のプロダクトデザインに携わる。Gマーク選定商品を多数手がけ、SDA賞、米ID誌Annual Design Design Distinctionなど、多くのデザイン賞を受賞。現在は主にパソコンなどのプロダクトデザインを手がけている。