エルゴ・ブレインズは、DB2を使い急成長したネットベンチャーである。DB2は、メインフレームや大型UNIX機で使うIBMのデータベースソフト。これをPCサーバーに入れて成長したネットベンチャーは、とても少ない。システム面から支えた田中氏は、「当時、パソコン事業を担当していたIBMの堀田(一芙)常務の強い推奨があったのと、安かったのと、パソコンやサーバーの貸し出しで世話になっていた(笑)ことが、結果的にDB2を使うきっかけになった」と振り返る。
パソコン+リナックス+DB2という珍しい構成による経費節減が評価され、ビジネスは順調に立ち上がり、今年2月に株式公開を果たした。時の巡り合わせで、今年7月、DB2を扱うIBMソフトウェア事業部のトップに堀田氏が就任した。田中氏の成長を見て、ビジネスの手応えを感じたのか、即決でIBMコンサルタントとして招き入れた。
PCサーバーの領域でDB2のシェア20%を目指すIBMから見れば、田中氏は先進ユーザーであると同時にインフルエンサー(伝道師)だ。田中氏の言葉は、他社の技術者に大きな影響を与える。インフルエンサーの刺激で、DB2のアプリケーション開発が活発化すれば、エルゴにとってのビジネスチャンスも増え、もちろん堀田氏の目論見も的を射る。人の結びつきがビジネスを広げた好例だ。
プロフィール
(たなか ひさし)1955年、岡山県生まれ。79年、京都大学工学部卒業。86年、アーダ・ソフトウェア設立。01年、エルゴ・ブレインズ取締役。02年8月、日本IBMソフトウェア事業部コンサルタント。同年9月、エルゴ・ブレインズ取締役上級副社長就任。国内オプトインメールビジネスの先駆者で、すでに会員数190万人を獲得。年内には200万人に達する。