本欄のサブタイトルは、「IT業界の匠たち」だが、今回登場する山田淳さんは匠というよりも「匠を熱くさせた男」である。ThinkPadをもってエベレストに登頂、7大陸の最高峰最年少登頂記録を達成した。彼を支えたのが日本IBMのThinkPad開発チームだった。
本欄のサブタイトルは、「IT業界の匠たち」だが、今回登場する山田淳さんは匠というよりも「匠を熱くさせた男」である。ThinkPadをもってエベレストに登頂、7大陸の最高峰最年少登頂記録を達成した。彼を支えたのが日本IBMのThinkPad開発チームだった。
「ThinkPadの開発チームは“匠”に相応しい人達。一緒になって地球という大きなフィールドを使って遊ぶことができた」「最初は天下のIBMが本気になってサポートしてくれるとは思っていなくて。初めて六本木のIBM本社に行った時、こんな大きな会社がサポートしてくれるわけないと受付に行った瞬間に思った」
ところが、徐々に山田さんもたじたじになるくらいIBM側も熱くなった。その背景には、「将来、モバイルが広がっていけば、山にパソコンや携帯をもって登り、動画でその様子を配信することは当たり前になる」という山田さんの考えにIBM側が賛同したことと、山田淳というキャラクターに匠を熱くさせる要素があったのではないか。堅い意志のもと高所登山を行いながら、「登山はスポーツのひとつ。最年少登頂にそれほど意義は感じていない。だって、若くて体力がある方が成果は残しやすいはず」といたってクール。その熱さとクールさが匠を本気にさせた。
プロフィール
(やまだ あつし)1979年兵庫県神戸市生まれ。私立灘中学校、灘高校を経て、東京大学文科Ⅱ類在学中。中学時代にワンダーフォーゲル部に入り、大学入学後、本格的な高所登山を開始。99年キリマンジャロ、00年アコンカグア、00年マッキンリー、00年エルブルース、01年ビンソン・マッシーフ、01年インドネシア・カルテンツピラミッド、02年エベレスト登頂に成功、7大陸の最高峰を2年半で踏破し、世界最年少記録を打ち立てる。