デジタルハリウッド(デジハリ)が、報酬を得ながらナマの仕事を習得できる“授業”に取り組んでいる。現役学生は業界最先端の現場で体を張って学ぶ。もともとデジハリは、杉山知之学校長が、産学協同のメディア・ラボとして立ち上げた学校だ。今のデジハリが取り組むのは、産学協同の進化型となる。
「CG(コンピュータグラフィックス)が中心だった授業も、今やウェブなどインターネットメディアが講義全体の7-8割を占める。芸術的比重が大きかったCGに対し、ウェブは、より実ビジネスに直結したメディアだ。さらに学校という箱の中より、フィールドの方が学ぶべきものが多い」。こう分析するのは、昨年6月、デジハリの経営者に就いた藤本社長だ。
「デジハリの学生は、業界先端の企業約250社から“課題”を獲ってきて教材にする。もちろん講師が全面的に支援する。今年1月からは、さらにこの“課題”を、10円でも100円でもいいから、仕事と見なして“受注”する授業を始めた。これは、授業という名のインキュベーションだ」
ハリウッド・スタイルの名称で始めたインキュベーション授業には、腕に覚えのある学生がこぞって参加する。仕事を獲る過程で、卒業後の独立起業や就職、フリーランスへの足がかりをつかむ。“ビジネスの中へ――”。デジハリは、新しい産学協同のスタイルを提示する。
プロフィール
藤本 真佐
(ふじもと しんすけ)1967年、千葉県生まれ。93年、青山学院大学経済学部卒業。94年、デジタルハリウッド設立。取締役就任。96年から00年、アイ・エム・ジェイ代表取締役社長。99年から00年、ツタヤオンライン代表取締役社長。00年から現任、スパイラルスター代表取締役社長。02年6月、デジタルハリウッド取締役から代表取締役に昇格。