Symantec Security Response―。シマンテックでウイルスの解析研究、定義ファイルの開発などを行う部署を指す。ウイルス発生時に、社内で最も早く対応に動き出す緊急対策チームだ。ワールドワイドで9拠点あり、その中で日本拠点の指揮を執るのが、星澤裕二氏。
「最も重要なのは迅速な対応。時間との戦いで、多大なプレッシャーを背負っていることは確かに辛い。しかし、的確な情報、ツールをいち早く提供できた時は、その辛さを超える喜びが待っている」24時間365日対応のため、勤務時間外に呼び出されることもしばしば。休日でも、2時間以内に出社できる場所にいることが義務づけられている。つい最近、猛威を振るった「SQL Slammer」の発生時も、土曜とあって休日だった。外出先から第一報を聞き会社に出社。対応に力を尽くした。
1998年にシマンテックに入社する前は、プログラマーとしてIT業界に携わっていたものの、セキュリティに関する知識は皆無に等しかった。「セキュリティに特別興味をもっていたわけではない。今の職に就いたのはたまたま」と振り返る。現在は、ウイルスに関する講演会や執筆活動も手がけるなど、国内でも有数のウイルス研究者に登り詰めた。時間を問わず、迅速な対応に全力を注ぐ―。ウイルス研究の第一人者が、シマンテックの屋台骨を支えている。
プロフィール
星澤 裕ニ
(ほしざわ ゆうじ)1967年、北海道生まれ。98年、シマンテック入社。Symantec Security Responseの日本担当マネージャとして、ウイルスの解析、ウイルス定義ファイルの作成などを担当する。情報処理振興事業協会(IPA)のセキュリティセンターウイルス対策技術検討委員会委員や、電子商取引推進協議会(ECOM)の「ECサイトにおける情報セキュリティ向上推進プロジェクト」のメンバーなども務める。また、Virus BulletinやEICARなどの国際会議でセキュリティ問題に関する研究発表も行っている。セキュリティ関連の出版物にも寄稿しており、著書には「ウイルスの原理と対策」、「コンピュータウイルスとワクチンとの戦い」がある。