任期は2004年3月まで。それまでに.NETで500億円売り上げるのが白井さんのミッションだ。
年商3000億円弱の日本ユニシスで、このボリュームは大きい。100人の部下を率い、「今後1年以内に100億円規模の商談を10件以上仕掛け、なおかつ数億円の案件を山ほど積み上げないと達成できない」という。
「.NET構想が世に出て、まだ3年。世界でも大規模基幹システムを.NETで構築した事例は、両手で数える程度しかない。国内では皆無に等しい。まずは、この手で国内最大の基幹システムを.NETで受注してみせる」
社内では生え抜きの女性SEで、何十、何百億円の案件を転がす凄腕と評判だ。
家に帰るのはいつも遅い。小学校1年生になる娘とは擦れ違うが、毎朝一緒に通勤・通学することで1日1回は触れ合う時間をつくった。
電車のなかの30分だけ。この時間をつくるために都内の私立学校に通わせた。夫は優しく献身的で、子育てを全面的に支援してくれる。だが、母にしか打ち明けられない悩みはあるもので、通勤電車のなかで堰を切ったように話し始める娘が愛おしい。
「ITと夢の架け橋」になりたいと白井さんは願う。「目標を達成して成果を出す。顧客と会社の価値を高める。そして、私や部下それぞれが夢を実現する。ただ黙々と仕事をするだけでは切ないじゃないですか」
プロフィール
白井 久美子
(しらい くみこ)1962年、東京生まれ。85年、青山学院大学を卒業後、同年、日本ユニシス入社。汎用機やUNIXのシステム開発を経て、02年9月、マイクロソフトの.NET事業を立ち上げるプログラムマネージャーに就き、大規模基幹システムを攻める。任期は04年3月までで、それまでに500億円の売り上げを立てる。20年近いSE(システムエンジニア)歴をもつ熟練技術者。