「IPv6(次世代インターネットプロトコル)は、あくまでもプロトコル。これを生かして新しいサービスを創造することがビジネス拡大のカギとなる」
こう切り出すのは、インテック・ネットコアで専務取締役技術本部長を務める荒野高志氏。IPv6アドレス割り当てルールの分野で、日本発の提案が初めて世界標準となったことに大きく寄与した人物だ。
もともとは、NTTのソフト研究者で、1996年にOCNの立ち上げに携わった。その際、「インターネットには解決しなければならない隙間があると気がついた」と当時を振り返る。エンジニアとしてインターネットの土台作りを行う一方で、ICANN、APNIC、JPNICなどの団体でIPアドレスのルール作りに関わってきた。
同社を立ち上げたのは、「できるだけ早くIPv6を応用段階にもっていくためには、自由に動き回れる環境を作ることが重要だ」と判断。ビジネスモデルの開発や提案を行なう会社の設立を決意した。
設立にあたっては、以前から研究者との交流があったSIer(システムインテグレータ)のインテックに出資を仰いだ。
IT市況については、「厳しい状況が続き、戦国時代のようだ」と言うものの、「優れた技術を武器にすれば、大きなビジネスが生まれる可能性が高い」と強調する。そのなかで、「自分にしかできないことを行っていく」と意欲を示す。
プロフィール
荒野 高志
(あらの たかし)1962年1月、東京都生まれ。86年3月、東京大学大学院情報科学専攻修士課程修了後、日本電信電話(現NTT)に入社。NTTのソフトウェア研究所入所、イリノイ大学客員研究員を経て、96年にOCNの設計や構築、運用などに従事。NTTコミュニケーションズIPv6プロジェクト担当部長としてIPv6サービスを立ち上げる。01年にアジアグローバルクロッシングに移籍し、リージョナルディレクタとなり、02年にインテック・ネットコアを設立。現職に至る。