「プロジェクタ市場の拡大は、これからが本番。今年秋には10万円を切る主力製品が続々登場する。これらが家庭に入ってきたら生活に彩りが出る。画面1インチあたりの消費電力は、プラズマなど他の大型ディスプレイよりも少ない。伸びる要素は十分にあり、刺激的な市場に成長する」。高相さんは、プロジェクタ市場の専門家だ。「ピュアな技術動向を追いかけたいために、今の会社に入った」
技術は、人間の生活をよりよくすると考えたからだ。自宅に帰ってからも、夜が更けるまで仕事を続け、朝は9時前には会社に着く。残業しているという感覚はない。時差がある欧米のメーカーや市場関係者とのコミュニケーションを重視する結果に過ぎない。
「一流のアナリストを目指して、世界の市場を語れるようになりたい。そのためには、国内だけで閉じていてはダメ」。世界のアナリストが集まる国際討論会にも、自ら出かけて討議に加わる。「今、苦しいときがあったとしても、のちのち役に立つはず。年をとれば、最先端の技術も頭に入りにくくなるけれど、人や社会に役立つ技術は、なにも最先端なものばかりじゃない」「わたしの好奇心が続く限り、世界の技術や市場を追い続けたい。そして、なによりも、人々のより豊かな暮らしに結びつくよう働きかけていく」
プロフィール
高相 緑
(たかそう みどり)1971年、神奈川県生まれ。93年、中央大学卒業。同年ISEC(アイセック)を通じて台湾の証券会社「中信證券」で1年間研修を受ける。94年、独立系市場調査会社 テクノ・システム・リサーチ(TSR)入社。プロジェクタ市場の調査を続ける。TSRは、IT産業全般に加え、とくにディスプレイ分野で多くの実績がある。