「正々堂々と勝負したいので、ウラの駆け引きは嫌い」プログラマー気質(かたぎ)の“陰にこもるタイプ”ではない。社会人駆け出しの20歳代は、汎用コンピュータに使うプログラム言語「COBOL(コボル)」を中心に言語を打ち続けた苦労人。だが今は、プロジェクトマネージャーとして、前線での指揮官が板に付く。1年前からは、ウェブ型ナレッジツール「サイボウズ デヂエ」の統括責任者として切り盛り。企業内の情報を蓄積する「サイボウズ DBメーカー」を改訂して、「ノーツでもMSアクセスでもなく、当時は世になかったナレッジツールという新しいコンセプトで新製品をつくった」のがデヂエ。「苦労はなかった」と飄々と語る。
「パッケージ開発に興味をもった」のは30歳代半ば。弥生の前身であるミルキーウェイに入社し、DOS/V版の給与計算ソフト「大入袋」の開発で指揮を執った。「この時に垢抜けた」。彼の原動力はここにある。「飽きっぽい性格」で、1つの企業に定着しない。だが、「デヂエ」は、「自分で企画してものを作る楽しさを味わった」と、愛着がある。いい意味で「わがまま」。一見、人当たりは悪いが、周囲の部下とは、階下の「スターバックス」で月1回、「胸の内を聞きたい」と“公式の世間話”に花を咲かせる。「デヂエでサイボウズ オフィス以上の実績を上げたい」と、最後まで飾った言葉はなかった。
プロフィール
山本 勝
(やまもと まさる)1962年、神奈川県川崎市生まれ。85年から10年間、汎用コンピュータのプログラマーに従事。95年、ミルキーウェイに入社。同年、ミルキーウェイと日本マイコンが統合して設立したインテュイットで、給与計算ソフト「大入袋」など業務パッケージソフト開発のプロジェクトマネージャーなどを担当。99年、ソフトバンクグループでBtoBサイトを運営していたバーティカルネットに入社。00年、サイボウズに入社してウェブ版グループウェア「サイボウズAG」の開発プロジェクトに携わる。02年4月、「サイボウズ デヂエ」を含むナレッジ事業推進部の責任者になる。