e-Japan戦略や自治体の電子化を指して、「電子化すれば、それでいいと思っている」と厳しく批判する。「本来の目的は、住民サービスの向上や地域の活性化、産業構造の転換などにあるはず。こうした目的を実現する手段であるべきIT化が、最終目的になってしまっている」と見ている。その原因は、「首長のリーダーシップの欠如や電子自治体構築を庁内で大局的に見渡せる人材もセクションもないこと」と分析する。
96年に日立総合計画研究所に入社し、国際グループ、政策経済グループ、電子政府プロジェクトマネージャーを経て、米ミシガン大学に留学。「日立の場合、海外留学に出るときは、自己申告でなにか1つ資格を取ってこなければならないんです」。それで取ったのが弁護士資格。海外で見聞してきたことを、自治体の電子化に役立てたい、と啓蒙している。米でも北欧でも韓国でも電子化が進んでいる。日本では「財務省は大反対でしょうけど、例えば電子納税する場合には減税というインセンティブを与えるというような、大胆な方法が必要になる」。
それで今は過渡期とか。地域のネットワークができてもパソコンの習熟にも時間がかかるし、慣れない人はできない。どんな端末が必要か、どんなふうに使われるか、想像するのも難しいが、「10年後や20年後を考えれば、そんなの当たり前」と笑っている。
プロフィール
石井 恭子
(いしい きょうこ)1992年慶応大学法学部政治学科卒業。同年、日立製作所入社。96年、日立総合計画研究所、国際グループ研究員。00年、中央大学総合政策学部修士課程修了。同年、日立総合計画研究所、政策経済グループ研究員兼電子政府プロジェクト・プロジェクトマネージャー。02年ミシガン大学ロースクール修士課程修了。03年日立総合計画研究所、政策経済グループ副主任研究員。米国ニューヨーク州弁護士登録。