国内で開催されるJava関連のセミナーでは、かなりの頻度でこの人が登壇する姿を見る。「ITのトレンドは常に変化している。その流れの中心でする仕事は楽しい」。創業以来、オープンでスタンダードな技術にこだわる米BEAシステムズの思想を日本国内に伝える中心的な役割を果たす。
過去には、プログラミング言語でソースコードを作成する「コーディング」を数年担当した経験もある。Javaの登場により、「この新技術で世の中が変わる」と、Javaにのめり込んでいった。
「生産管理ツールの作成で、『開発方法論』を学んだノウハウがある」ため、いまIT業界で注目のEA(業務システム最適化)やSOA(サービス指向アーキテクチャ)に話題を振ると、さらに会話が弾む。
だが、今年に入ってから社の主力商品などに目立った新製品のリリースがなかった。決して暇ではないが、そうなると、この人の出番は少なくなる。
ところが、米BEAシステムズは5月下旬、米国で開催したプライベートイベントで、「リキッド・コンピューティング」と呼ぶ新理論を提唱した。
「ITインフラの変更要求を数分で見直そうという理論。実現までにそう遠くない考えだ」と、再び社の「広告塔」としての役目が増えている。
そんな多忙な毎日の疲れは、「風が吹けば」と月1回程度、趣味のウィンドサーフィンで癒される。
プロフィール
伊藤 敬
(いとう たかし)1966年、新潟県新潟市生まれ。89年、日本大学文理学部化学科卒業。同年、三菱電機東部コンピュータシステム(現在の三菱電機インフォメーションシステムズ)入社。生産管理ツールの開発などに携わる。96年、Java開発ツールを開発・販売するパワーソフト入社。マーケティング・マネージャーに就任。99年、米ウェブロジック入社。同年、米BEAシステムズによる米ウェブロジック買収にともない、日本BEAシステムズに籍を移し、プロダクト・マネージャーを経て、現職。