神戸製鋼所に入社してしばらくは、プラントエンジニアリング関係に携わった。それがいつの間にか、コンピュータシステムの設計・開発が本業に。「マッキントッシュのすごさに触れて、病み付きになったから」というのが、“転身”の理由らしい。社内の情報システム整備にまい進していたのが、ちょうどバブルの時期。「どこの企業でもやっていたが、神鋼でも学生を集めるために豪華な独身寮を作った。そこで初めてネットワークを導入したインテリジェントドミトリー(高度情報化された寮)システムのプロジェクトリーダーを務めた」。
その後も数々の社内システム企画・設計にタッチ。バブル経済も弾け、鉄鋼メーカーの多角化も終焉の時を迎える。事業が始まったばかりのサーバー監視ツール「BOM(バックオフィスモニター)」も、撤退の憂き目を見るが、「これほど容易に扱えるツールはないのに、導入しているユーザーのサポートはどうするんだ」と発起して、BOMを抱えて起業する決意を固めた。
現在社長を務める関田充彦氏、専務の安藤和明氏らと3人の頭文字をとってセイ(SAY)・テクノロジーズを設立し、「会社組織にしたり、資本金を用意したりいろいろ手続きを踏んで」、神鋼からBOMを譲り受けた。「幸い、大手ITメーカーがパートナーについた」こともあって、これまでに3000ライセンス以上を稼ぎ、扱いやすさでスタンダードに育った。
プロフィール
養老 利紀
(ようろう としのり)1962年3月、大阪府生まれ。84年、京都工芸繊維大学電気工学科卒業。同年、神戸製鋼所入社。神戸市向け駐車場案内システムの設計に続き、社内エンジニアリング系事業のマッキントッシュネットワーク構築、高砂産業機械工場のネットワーク構築など社内の情報化業務に従事。コベルコシステム出向。大手電力向けNTサーバー導入プロジェクトのコンサルティングなどを手がける。96年に神鋼に戻りマルチメディア関連業務に関わった後、98年にコベルコシステム再出向。BOM Ver2・0を設計・開発。BOM推進室長としてプロモーションから開発までのマネジメントに携わる。00年、セイ・テクノロジーズ社長。02年5月、専務取締役(製品企画・開発統括)。04年1月、取締役製品戦略部長就任。