もともとは、実家の建設業に携わっていた。建設現場の監督、塗装職人、営業などに励んでいたが、家業を実兄が継ぐことになった。そこで、インターネットビジネスの揺籃期に「ネットを使った貿易」を目指して起業した。
海外の人達とコミュニケーションをとりたいと思ったきっかけは、高校時代に千葉県の高校生を対象にした海外派遣で「戦時中に日本が迷惑をかけた国へ行った」経験から。
「ネットを使って貿易がしたい」というコンセプトだったが、「会社をつくった1994年当時は事業プランを理解してくれる人が少なく、生き延びるために、ペンキを塗りながら」の生活だった。
インターネットが一般化するとともに、「ネットの利便性を享受できる仕組み」を作るため、「自分の情報は自分で守る」ことの重要さを痛感。これが電子割符を開発するきっかけとなり、約1年かけて電子割符の原型をつくり上げた。
コンピュータのプログラムの知識は無かったが、“ITの設計図”も建設の「都市を作る時の考え方と同じ」という。「地質を調べ、足場を固めて設計、施工し、管理する」という経験が役立った。
電子割符関連商品の企画・開発・販売のGFIビジネスがこのほどスタートした。世界展開も視野に入れ、電子割符普及に情熱を傾ける。保倉社長の起業の根底には、「たくさんの人々を幸せにしたい」という理想がある。ITはそれを実現するうえで「ポテンシャルが高い」と見る。独自開発の電子割符が世界を狙う。
プロフィール
保倉 豊
(やすくら ゆたか)1968年、千葉県出身。86年、千葉県立成田西(現成田国際)高校卒業。94年8月、家業の建設業を経て、ネットを利用した貿易業を目指しグローバルフレンドシップを設立。主な事業は、秘密分散法を中心とした情報セキュリティ技術の提供。05年9月、グローバルフレンドシップ、日立製作所、アイ・オー・データ機器が出資し、電子割符関連商品の企画・開発・販売を行うGFIビジネス設立。代表取締役社長に就任。