「便利なものは、便利なものとして使いたい。そのためにこそ安全が重要。しかし、目の前にあるウェブアプリケーションは絶対安全であるわけではない」と語る。だから、今はセキュリティ分野の技術開発に集中している。自ら開発したウェブアプリなどの開発フレームワーク「FALCON(ファルコン)」を用いた初の市販製品である情報漏えい監視・追跡アプライアンスなども、近く発売される。
「FALCONは、ウェブアプリ開発の効率を上げることを前提に開発したが、言語に近い形であり、広範な領域で柔軟に活用でき、しかも安全なアプリの開発が可能。そうしたフレームワークとして発展させたい」という。市販製品への応用は初めてだが、実はある技術系国立大学法人の業務ポータルですでに利用されているのだ。
学生時代から「理論だけでなく、実装し、デリバリーし、評価する、というプロセス」の必要性を感じていた。大学院に進むと同時に、会社を立ち上げたのもそのためだ。日本のソフト技術が海外に遅れをとっているのは事実。キャッチアップには、理論を商品に結び付けていく必要がある。自らが、そのスタートラインに立ったということだ。
セキュリティ分野を中心として、公的機関などとともに、いくつかの先端技術開発プロジェクトに参画している。「ベンチャー経営者なのに、知り合いは先生ばかり」と笑うが、「役に立つ技術」を前提に、新しいもの、面白いものに挑戦していくつもりだ。
プロフィール
藤原 礼征
(ふじわら ひろゆき)1974年、大阪府生まれ。97年3月、大阪大学基礎工学部卒業。97年4月、大阪大学大学院基礎工学研究科に進むと同時に、有限会社ホットラインインテグレータジャパンを設立。99年、大阪大学大学院基礎工学研究科中退。00年2月、資本金1000万円で株式会社に改組するとともに、社名をソリューション・クルーに変更。01年1月、イージーネットと資本提携し、5400万円に増資。同時にホットラインを含めた3社でソフトウェア開発技術者の移管・再分配を実施し、先進アプリケーション開発専門の技術開発型ベンチャーに再編。