ドライバで情報漏えいを防ぐという新発想。サイエンスパークの小路幸市郎代表取締役が、創業以来こだわり続けた「ドライバソフトでナンバーワンになる」という熱意が、この新発想を生んだ。
アプリケーションソフトで情報漏えいを防ぐ製品は、今では腐るほど存在する。だが、同社の考え方はそれとは異なる。ドライバウェアとして、カーネル層で情報漏れを防ぐのが同社の主軸製品「4thEye」のコンセプトだ。
2年前、情報セキュリティ先進国である米国の米空軍科学研究所から特別研究賞を受賞。国外でも評価され、今年10月には米国市場に打って出た。
創業時は「何でもやります」がうたい文句。営業のため、毎日数百本の電話と外回りを続けた。顧客の要望に合わせてソフトを一人で作り、売り、そしてサポートした。そのなかでドライバ開発に苦労している企業が驚くほど多いことに気づき、その後、セキュリティに着目した。
「一人で現場回りをやっていたから、今のビジネスモデルがあるんです」
学生時代から起業家になることを意識していた。20代前半に、50年後までを見据えた未来年表を作り、まずは20代で技術、30代で経営の勉強と決め、「死ぬほど働き、勉強もした」。「かみさんも起業を許してくれそうな人を選んだ」ほど起業願望は強かった。
「ドライバ開発にはハードとソフトの知識と技術が必要。簡単に真似できるものじゃないんですよ」
自信はゆるぎない。
プロフィール
小路 幸市郎
(しょうじ こういちろう)1959年3月16日生まれ、福岡県出身。職業訓練大学卒業後、武蔵工業大学電気工学科に技術スタッフとして就職。2年後、ソフトウェア開発のベンチャー企業へ転身。94年5月、サイエンスパークを設立、代表取締役に就任した。慶応義塾大学SFC武藤研究室の研究員も務める。そのほか、神奈川県立産業技術短期大学非常勤講師としての経験も持つ。