日本屈指の3DCGソフトといえば、イーフロンティアの「Shade」がそのひとつとしてあげられるだろう。開発者の園田浩二さんは、“Shadeの神様”と呼ばれているほどの人物。セミナーには、多くのShadeユーザーがデモや講演を視聴するため熱心に訪れる。それは、園田さんがユーザーとしてShadeに出会い、その経験をもとにソフトの最適な使い方をアドバイスしているからだ。
Shadeとの出会いは、今から20年ほど前にさかのぼる。3DCGソフトの「スイベル3D」でロボットを題材にしたアニメーションを制作したのがきっかけだ。システムソフトに勤務していた当時、そのアニメーションをオフィス前に設置したディスプレイで流したところ、事務所のビルオーナーの目にとまってテレビCMを制作して欲しいとの依頼を受けた。そこで、本格的なアニメーションCM制作に向けてShadeを活用したという。「ユーザーの立場から、本当に使いやすいソフトという印象を受けた」そうだ。その後、Shadeを使って数々の印象に残るCMを制作した。1992年放映の日本マクドナルドによるビッグマックキャンペーンは、ハンバーガーを地球に見立てた斬新なアニメーションが話題になった代表作といえよう。
「Shadeは、個性を引き出すための武器を与えてくれるようなもの」という。園田さん自身、「人形アニメータになるのが子供の頃からの夢だった。いったんはあきらめていたが、Shadeを通じてコンピュータ上の制作で夢が実現した」。現在では、Shade開発に加え、CGデザイナーやアニメータなどを育成するスタジオの開設も進めている。ユーザーが“夢の扉”を開くための環境づくりに余念がない。
プロフィール
園田 浩二
(そのだ こうじ)1957年、福岡県出身。福岡大学商学部商学科卒業。81年、YAMAHAピアノテクニカルアカデミー2期生として卒業後、ピアノ嘱託調律師として従事。86年、システムソフト入社、デザイン室に配属。01年、エクス・ツールス在籍中に、Stalaの外部入力補助スタッフとして参加。03年、イーフロンティアに入社、Shadeの開発に携わる。現在、Shade開発のかたわら、CGのスタジオ開設を進行中。