eメールをはじめ、デジタル画像やストリーミングファイルなど「非構造化データ」の管理に特化した「クラスタ・ストレージ」メーカーのアイシロンが、ストレージ業界で徐々に頭角を現しつつある。日本市場で同社のブランドを浸透させた立役者が瀧口昭彦代表取締役だ。
設立当初の2005年、全くといっていいほどクラスタ・ストレージの知名度がなかった。「ユーザー企業に対して、どのようなメリットがあるのかを説明しても理解してもらえなった」と振り返る。しかし、今では「こちらからアプローチしなくても、ユーザー企業から導入の問い合わせがあるなど、製品用途が認知され始めている」ことを実感する。
瀧口代表取締役は、日立製作所やサン・マイクロシステムズで新プロジェクトへの参画など、大手ストレージメーカーで“創造型ビジネス”に携わっていた経歴を持つ。「革新的な技術やビジネスモデルで、いつもワクワクしていたい」。アイシロンへの入社も、日本にない製品で新しい市場を創造したかったからだ。
最近では、コンプライアンス(法令遵守)に対応するうえで、企業は基幹業務の構造化データだけでなく非構造化データも長期間にわたって確実に保管しなければならない。こうした状況から、クラスタ・ストレージに対するニーズが高まっている。「昨年は、社内体制の整備やパートナー開拓など基盤づくりに徹していた。ユーザー企業がクラスタ・ストレージによる非構造化データの有効活用で、“攻め”の経営を進めようとしている。同様に、当社も攻めのビジネスに転じる」。
瀧口氏は、ストレージ業界に“一大ムーブメント”を起こそうとしている。
プロフィール
瀧口 昭彦
(たきぐち あきひこ)1961年5月30日生まれ。86年、早稲田大学教育学部卒業後、日立製作所に入社。94年、日立データシステムズヨーロッパでビジネスプランニングやコーディネーションを手がけるディレクターに就任。00年、日立で国際情報通信営業本部サーバシステム部長代理に就任。03年、サン・マイクロシステムズに入社。ストレージ・ソリューション営業本部長やデータセンターソリューション営業本部長などを歴任する。05年、アイシロン・システムズに入社、代表取締役に就任。現在に至る。