圧倒的な知名度とシェアを持つ「LanScopeシリーズ」。シェアは2年連続して65%に迫る勢い(富士キメラ総研調べ)で、「デファクトスタンダード(業界標準)になりつつある」と、一部の競合ベンダーからは半ばあきらめの声が聞こえるほどの強さがある。
エムオーテックス(MOTEX)生え抜きの北村和久さんはその開発陣を束ねる。高木哲男社長が描いたコンセプトや新機能の青写真を実際の商品として誕生させていく役割を担う。
大学院卒業後、MOTEXに入社。大手ソフトメーカーに就職する道も開けていたが、社員数30人にも満たない頃のMOTEXを選んだのは、高木社長の考えと想いに共感したからだ。それから一貫して開発畑を歩み、今のポストに就くまでスキルを高めてきた。「ラッキーだっただけです」と謙遜するが、自らが誕生させたLanScopeの存在感は重みを増し続けている。
温厚で冷静な雰囲気を漂わせる北村さんは、開発者が陥りがちなプロダクトアウト的な考え方を一切しない。開発で重視するのは、「顧客が運用している姿をイメージすること」。「運用を意識する」は、北村さんだけでなくMOTEXの社員がよく口にするキーワードだ。製品開発にあたっての最重要チェック項目としている。
「この会社では開発者のエゴは認められないし、私も認めない」
MOTEXが毎年開催するユーザー向けイベントの懇親会。記者も参加したことがある。その会場では、ユーザー同士が「こんな使い方をすると便利」と、活発に意見交換するシーンがごく当たり前に見られる。
プロフィール
北村 和久
(きたむら かずひさ)1976年、茨城県生まれ。99年、立命館大学理工学部数理科学科卒業。01年、立命館大学大学院理工学研究科卒業。同年4月、エムオーテックス入社。入社後は一貫して開発部門に所属。現在は「LanScope Cat」および「同 Guard」開発の陣頭指揮を執る。