サイボウズグループ内の「SaaSビジネス」を志向する“別働隊”として、次世代の新規事業を創造する役割を担うフィードパス。「日本的な組織の枠で仕事をしたくない。新しいことができる」と、サイボウズ副社長を退任し、率先して代表者の役を買って出た。
東京・渋谷の「ビットバレー」を先導した旗手のITベンダーがある事務所に居を構える。津幡は、ラフな服装で気さくなイメージで、1990年後半の社会現象を演出した人たちを彷彿させる。
大学生の当時から「漠然と会社を経営したかった」。印刷機器販売会社を経営する実父の影響を受けている。ようやく自分が先導して「新たなチャレンジができる」場を得た。
卒業後、最初に勤めたコンサルティング会社では、入社してすぐにプログラミングを体得。中央官庁系のシステム監査などを担当し、技術面には明るい。IT系の会社にも所属して、資金面を含めた経営管理や株式上場の方法などを実体験した。その後、知り合いを介してサイボウズ役員に就任。結果的に、経営者になるための「すべてを学んだ」。現場も経営も知る「頼りになる経営者」が生まれた。
「使う人がハッピーになる」──そんなプロダクトを生み出すことを信念としている。「今は、能力を蓄積している段階」というが、虎視眈々と、世の中を沸かすプロダクトを生み出す機会を狙っているようだ。
持ち前の人当たりの良さで、IT業界の人脈は広い。「人のつながりが大事」と、人間関係を殊に重視する。そんななかで、新機軸がどんどん誕生しそうな気配を感じる。(文中敬称略)
プロフィール
津幡 靖久
(つばた やすひさ)1969年4月、東京都文京区生まれ、38歳。92年、早稲田大学商学部を卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。その後、フォーバルテレコム、A.Tカーニーを経て、03年にサイボウズ入社。経営企画、経営管理、新規事業企画部門の責任者を歴任し、06年に同社の代表取締役副社長に就任。06年4月から現職。サイボウズ出資会社のうち、インフォミックスやユニリンク、ゆめみなど7社の役員を兼務。趣味は、週1回はこなすゴルフ。