SaaS(Software as a Service)は本流になる。「この流れにうまく乗れば上場企業を1つ、つくれるのではないか」──。そう考えてテラスカイを立ち上げた。
日本IBMで中小企業向けの地道な“エリア営業”をしていた頃から、「いつかは大きな成功を手にしてやる」と心に決めていた。憧れは日本オラクルを上場会社まで育てた元IBMマンで、カリスマ経営者の佐野力・日本オラクル前社長だ。
急成長するSaaSベンダーのセールスフォース・ドットコムの役員に転身した自らの経験を生かし、テラスカイではセールスフォース製品のカスタマイズや、顧客の情報システムと統合させるアプリケーション統合(EAI)ビジネスをメインとする。ただ、これだけでは資本力のある大手SIerには勝てない。「来年春までには独自のSaaS製品を投入する」と、国産SaaSを開発することで差別化を狙う。
ビジネスパートナーのEAIベンダーが加盟するMIJS(Made In Japan Software Consortium)でもSaaS化の動きがある。国産パッケージベンダーの製品連携を進め、海外展開を目指す動きの一環だ。自社製品を手にすれば、MIJSのメンバーと「さらに連携を深め、グローバル展開」の道もみえる。その過程にある“中間ゴール”が株式上場だ。
セールスフォース創業者のマーク・ベニオフ会長兼CEOは「エンジョイ・サクセス─成功を楽しもう─」と言った。苦労は尽きないが、「社員とともに楽しみながら成功を手にしたい」と、明るく話す。
プロフィール
佐藤 秀哉
(さとう ひでや)■1963年、新潟県生まれ。87年、東京理科大学情報科学科卒業。同年、日本IBM入社。中堅中小企業向けの営業を担当。00年、年間最優秀営業部員に贈られる「セールス・オフィサー賞」を受賞。■01年、SaaSベンダーのセールスフォース・ドットコム日本法人の立ち上げに参画。執行役員営業統括本部長。05年、SIerのザ・ヘッド社長。■06年、ザ・ヘッドから分社独立したヘッドソリューション社長に就任。07年4月、テラスカイに社名変更。