プレゼンなどに使うレーザーポインタで文字や絵がかけるソフトウェア「Afterglow(アフターグロー)」を開発。マイクロソフトの「Innovation Award 2007」で9月、最優秀賞を獲得した。これまでにも独自に開発したインターネットブラウザソフト「Lunascape(ルナスケープ)」で多数の受賞歴を持つ。独創的なアイデアとこれを具現化する技術力が評価された。
子供の頃からプログラミングに馴染んできた。実力をつけてきたのは立教池袋中学校の名門クラブ活動「数理研究同好会」に入ってから。「仲間の前で作品を発表する楽しさを知った」からという。高校時代は音楽にのめり込むが、挫折。「創造的な活動という意味では、プログラミングと音楽は共通する」と、現在に至る道を選ぶ。
Lunascapeを開発した2000年初めは、「誰もグーグルの検索ボックスをつけていなかったし、今では当たり前のタブもなかった」。この2大機能を先駆けて実装した。Afterglowもポインタの動きをカメラで捉えて、文字や絵をかき込めるようにした。「これまでなかった概念」だ。テレビや電子掲示板など、「いずれ画面のあるものなら何でもポインタでかき込める時代がくる」と確信する。
昨年、数理研究同好会の現役高校生の後輩が独創力を持つ人材の発掘・支援を行うIPAの未踏ユース事業に採択された。先輩である近藤さんを目指してがんばったのだという。創造の連鎖が、今、静かに広がっている。
プロフィール
近藤 秀和
(こんどう ひでかず)■1977年、東京都生まれ。02年、早稲田大学大学院卒業。ソニー勤務を経て04年、Lunascape設立。代表取締役兼CEOに就任、現在に至る。■02年、情報処理学会「Best Author賞」受賞。04年、情報処理推進機構(IPA)未踏ソフトウェア創造事業「スーパークリエーター賞」受賞。■05年、インターネットブラウザのLunascapeで、IPAの「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2005」を受賞。07年9月、新しく開発したレーザーポインタを使った描画ツールで「Microsoft Innovation Award 2007 コマーシャル部門最優秀賞」を獲得した。