大手流通卸のソフトバンクグループ内にあっても、家電量販店の店頭販売から流通卸をここまで知り尽くす人材はいないだろう。大学生時代にアルバイトで某量販店の店員を経験。「エアコンや洗濯機などの設置から店頭販売まで、何でもこなした」と瀧進太郎。いつの間にか新入社員を教育するほど熟知するようになっていた。当然、流通卸の担当者と納品などでやり取りするが、「孫さん(ソフトバンクの孫正義社長)がキラッと光っていた」という印象から、ソフトバンクに入社しコマースグループの一員に。
最初に赴任した大阪で、法人事業での実績などが認められ「店頭にどんな商品をどう流通させるか」について全国を巡回して戦略を練る責任者も兼務した。「手を出していなかった某量販店の口座を開くことに成功し、業績を伸ばしたことが評価された」。
現在は、2006年1月に設立されたソフトウェアのインターネット販売やコンテンツ事業などを展開する「BBソフトサービス」の社長を務める。店頭のソフト販売が減退するなか、昨年11月、同社がセレクトしたソフトの製造・販売・サポートを行う「SoftBank SELECTION」の販売を開始。「Yahoo!などで無料ソフトが出ているが、初心者には縁遠い。最近はサポートを求めるお年寄りなど初心者がパソコンを使い始め、まだまだ店頭ソフトのニーズはある」。瀧が相次ぎ打ち出す施策はこれにとどまらず、ソフトフォンなどモバイル端末向けサービスの拡充も検討中。
「今年は『パーソナルデバイス元年』だ」とコンシューマのニーズをかき立て、「あと10年で大成功を収め、余生を送る」と冗談も飛び出す。店頭と流通の両面に精通するからこそできる業なのだろう。(文中敬称略)
プロフィール
瀧 進太郎
(たき しんたろう)■1967年3月31日、兵庫県尼崎市生まれ、40歳。■某家電量販店のアルバイト店員を経て、90年、ソフトバンクに入社し、西日本営業部に配属。■95年、営業課長に昇進。■店舗展開を検討する戦略推進室やEC営業部などで要職に就き、2006年1月にBBソフトサービスの設立時から現職。■趣味は乱読。