ソフト開発のスナッピー・コミュニケーションズは、ネットコミュニティの特性を生かした新しい商流を創出する。キーワードは「つながり」だ。ネット上で形成される人間関係を数理的に表すモデルを考案。人と人とのつながりを巧みに活用したコンテンツ配信システムの商品化にこぎ着けた。
小林四一は「人と人のつながりを数量的にとらえる計算式をつくりだせばビジネスにつながる」と、大手SIerに勤めていた時期に思い至る。会社に通いながら、筑波大学大学院の都内研究室で数理モデルの研究に従事。その後、システム開発やウェブデザインに長けた仲間とともに会社を起こした。
ただでさえモノが売れにくい時代。商品の告知もテレビやラジオを通じての一方通行型は行き詰まりつつある。ならば「時代に即した“売る仕組み”をつくる」と、独自の数理モデルをベースに、コンテンツ配信システムや顧客情報管理、ブログ、コミュニティ支援とさまざまなソフトを開発。「企業が商品情報を見込み客へ一方的に届けるのが従来型だとすれば、これからはコミュニティに参加するユーザーを経由し、さらに多くのユーザーへ情報を広める仕組みが大切」。
こうしたコンセプトが評価され、小売店などでの採用が相次ぐ。昨年11月にはダイエーの全国約200の店舗情報サイトへの納入を発表。ネットをフルに活用した販売戦略を進める小売のニーズを掴んだ。3年前にSIerのアイティフォーのグループ企業になるこで、課題だった営業力や販路の弱さを補強している。
現在開発中の商品は、共通の趣味を持つサークルメンバーの情報共有サービス。アマチュアオーケストラ向けに一部サービスを始め、今年5月をめどにダイビングや劇団向けのサービスも始める。人と人のつながりと商流を結びつけることで、「新しい売る仕組み」の創出に取り組む。(文中敬称略)
プロフィール
小林 四一
(こばやし よしかず)1966年、東京都生まれ。88年、東京理科大学卒業。大手SIerに入社。98年、筑波大学大学院修士課程を修了。同年、スナッピー・コミュニケーションズ設立。