ネット上で増え続ける動画コンテンツに大きなビジネスチャンスを見出しているのがスキルアップジャパンである。YouTubeなど投稿系の動画サイトが目立つなか、「放送事業者やコンテンツホルダーによる本格的なビジネスは、やっとスタートラインの一歩手前まできた段階」と、畠山祐聖はみる。景気後退で広告収入が落ち込むテレビ放送や関連する制作会社が、減収分を少しでも補うためにようやく重い腰を上げ始めたというのだ。
2001年の創業以来、動画の可能性を追求してきた同社。しかし、「動画だけでは食えない時期が長らく続いた」と内実を明かす。このため、動画関連以外にeコマースサイトの構築や、ファンコミュニティの企画・運営、システム開発などを手がけつつ、年商20億円近くにまでもってきた。08年1月、当時住友商事で映画・放送事業を手がけていた畠山を引き込む。畠山自身も「ネットビジネスはスピードが大切」と、ベンチャー企業で自分自身の可能性を賭ける決断を下した。
今年4月、これまで培ってきた動画関連のノウハウを結集した動画コンテンツ管理システム「ULIZA(ウリザ)」を投入。動画関連での大型自社商材はこれが初めてだ。放送・コンテンツ事業者など国内約1000社をターゲットに売り込み、海外展開も視野に入れる。
ネット動画はeコマースと連携して商品の販売に直結するだけに、広告主からみれば自社商品の販売促進費を充当しやすい。放送事業者は、テレビとネットを組み合わせることで広告費と販促費の両方を得られる。「米国では、このビジネスモデルで数百億円規模の売り上げ増を果たした事業者もいる」。放送とネットの融合は、10年以上も前からいわれてきたが、ここへきて日本でも「にわかに活発化してきた」。可能性が現実のものとなるのは間近と実感している。(文中敬称略)
プロフィール
畠山 祐聖
(はたけやま ゆうせい)1976年、秋田県生まれ。99年、中央大学経済学部公共経済学科卒業。同年、住友商事入社。IT・映画・放送事業部門を経て、コンテンツの流通業務を手がける。08年1月、スキルアップジャパン取締役就任。コンサルティング部長。