今年3月、セキュリティや組み込みソフトウェア関連の事業を手がける、ピコテクノロジーズを立ち上げた。それまでは、アイルランドのミドルウェアベンダーの日本法人である日本アイオナ・テクノロジーズ(現日本プログレス)でSOA(サービス指向アーキテクチャ)製品やESB(エンタープライズサービスバス)製品の販売に従事した。「当時のユーザーは、SOAのコンセプトはなんとなく理解できるものの、どう活用したらいいか分からないという状況。一方、ベンダー側もコンセプトを押し付けるだけで、どう売るのか明確ではなかった」と振り返る。
まず製品ありきではなく、マーケティング力が問われると、ひしひしと感じた。「ユーザーが、もっと『分かりやすく、使える』と感じるシステムを提供したい」。これが、起業しようと思い立ったきっかけだ。
例えば営業支援システムやERPは、その用途が明確で、企業にとってなくてはならないもの。「分かりやすい」「なくてはならないもの」と考えた時、「メール」に思い至った。コミュニケーションの中核であり、止めてはならないにもかかわらず、管理は個人任せの企業が多い。そこで、セキュリティの運用管理製品を提供しようと、今年7月に台湾のメールセキュリティベンダー「ソフネックス」と国産セキュリティベンダーの「BIOS」との3社で協業し、メールアーカイブアプライアンス「MAEストーバー シリーズ」を販売開始した。
製品を導入しても、わずか1年で業務に合わなくなって使えなくなるのでは意味がない。この製品はユーザーにとって、「使えるのか」「できることとできないことは何なのか」──。すべてをクリアにし、「ユーザーにとってよく分からないことがあれば、ピコに聞いたらすぐ分かる、そんな存在でありたい」と企業としてのあり方を語る。
プロフィール
玉木 正巳
(たまき まさみ)新潟県生まれ。大学卒業後、日本電気(NEC)に入社。技術営業としてコンピュータの販売に従事。その後、外資系ベンダーにてCAD/CAM/CAE/PDMやUNIXワークステーション、ハイエンド・サーバー、ミドルウェア等の販売に携わる。2009年ピコテクノロジーズ株式会社を設立し、メールセキュリティビジネスを展開。