スポーツやエンタテインメント、社会問題などあらゆるジャンルの写真データ約1800万件をWebにアップし、メディアや広告代理店などが、その場で購入できる仕組みを提供するゲッティ イメージズ。この分野の世界最大手だ。欲しい写真を容易に見つけ出せるWebシステムが強い理由の一つで、先進的なITインフラを運営する。最近では、「Flickr」と連携させ、素人が撮った写真を収集・厳選して販売する仕組みも用意した。
その日本法人トップであり、オーストラリアの営業責任者も務めるのが島本久美子。ゲッティが買収したイメージネットでの勤務から数えて、わずか6年で今のポストに就いている。
「子供の頃からビジネスに興味があった」島本は、ビジネスキャリアをスタートした大阪ガスの頃から一貫して営業畑を歩んできた。ガス会社からゲーム会社、写真通信社と働く業界を変え、日本、英国、米国、さらにはスペインやドイツなどの市場を担当してきた。業界や国が異なっても、持ち前の営業センスで実績を上げ続けてきた。
島本は、2歳から12歳までをニューヨークで過ごすなど、日本よりも海外での生活のほうが長く、日本語よりも英語が得意な印象。どことなく日本人女性にはない雰囲気とダイナミックさを持ち合わせている。国境の壁は感じられず、「どこの国でもビジネスできる」という自信が垣間見える。
世界を舞台に働く女性経営者だが、「一番好きで気になるのは日本」。先進のWebシステムを駆使して世界で存在感を示すゲッティ。それに比べれば、日本の地位はまだ低い。世界でのキャリアを生かし、「日本でも最大手のポジションを築きたい」と、力を発揮してきた営業センスを武器に実現を目指している。(文中敬称略)
プロフィール
島本 久美子
(しまもと くみこ)1991年、神戸大学経済学部卒業。同年、大阪ガス入社。97年に渡英し、ゲーム会社での勤務を経て、01年には英イメージネット(現・ゲッティ イメージズ)に入社。グローバルセールスディレクターに就任。04年にイメージネットがゲッティ イメージズに買収され、同社メディアマネジメントサービス部門の欧州およびアジアのセールスディレクターに就く。09年からは、オーストラリアおよび日本のセールス担当バイスプレジデントに就き、日本法人のゲッティ イメージズ ジャパンの代表取締役社長を兼務する。