「海外で成功して“大和魂”を見せつけたい」。CSEのICT本部でマーケティング部課長を務める阿久津茂郎は、ソフォス、RSAセキュリティ、そして自社開発の認証システム「SECURE MATRIX」といったプロダクトの営業支援、市場戦略を策定する立場にいる。
CSEは、米国法人「CSE Secure Systems」を設立。「SECURE MATRIX」で海外市場に打って出るという新たな船出を迎えている。
学生時代、英米文学を専攻。大学4年生で就職活動に精を出すも、氷河期の真っ只中。英語を生かせる仕事を探したものの、内定がもらえない。「IT業界に進むと決めた時には、自分のなかで英語とは決別した」と阿久津は話す。
ところが、CSEに入社した97年、同社は英国のセキュリティソフトメーカー、ソフォスとの独占販売契約を締結。ソフォスからローカライズが行える社員を英国に出向させてほしいと申し出があった。阿久津は入社まもなく上司に嘆願し続け、2年目の冬、異国の地に初めて足を踏み入れた。1年間の英国生活は充実していたが、サービスレベルの差には不満を抱いた。「愛用のカメラが故障して店に持っていっても、言い訳ばかりで修理してくれない。空港では管制システムのダウンで飛行機が飛ばない憂き目にあったが、大きく報道するメディアはなかった」と振り返る。改めて日本の素晴らしさを実感した。
帰国後、阿久津は営業担当として「SECURE MATRIX」の立ち上げに携わった。ユーザーが頭に描いた「形」とマトリクス表の組み合わせだけで、容易で高度な認証を提供することができるツールだ。「日本品質」の認証システムには現在、国内で650社60万IDの“ファン”がいる。社内では海外展開の計画が着々と進む。品質の高さは日本が上でも、セキュリティ技術や考え方は海外のほうが優れている。阿久津には「SECURE MATRIX」を海外で進化させ、日本に逆輸入したいという思いがある。「日本で生まれて海外で育って日本に帰る。たとえるなら鮭ですね」と笑う。それがブランドを育ててくれた人たちへの恩返しになるからだ。(文中敬称略)
プロフィール
阿久津 茂郎
(あくつ しげお)1974年、東京都生まれ。1997年、神田外語大学英米語学科卒業。同年、CSE入社。98年から1年間、英国ソフォスに出向し、製品ローカライズおよび日本市場向けのテクニカルサポートに従事。帰国後は営業担当として自社開発認証システム「SECUREMATRIX」の立ち上げに参画。2006年にはRSA enVision(旧Network Intelligence)の国内市場立ち上げのプロジェクトマネージャを経て、現在に至る。