娘二人を抱える専業主婦からIT企業の経営者へ──。2003年に、社長を務める父親が体調を崩したのがきっかけだった。父がIT企業の経営者でなければ、縁のない世界。ライジングサンコーポレーションの坂本佳子代表取締役は、「技術を知らない」まま、経営の舵取りを任された。
夫は、システムエンジニアで、専務を務める技術の元締め。一方、坂本はそれ以外の営業や総務、経理などの業務をこなす。夫婦が二人三脚で経営してきた。社員は「わが子のような存在」と、微笑む。「社員の長所はストレートに褒める。子育ての経験が活きていると思う」。
社員は13人で、八王子市内のホテルの一室にオフィスを構える。「小回りがきく少数精鋭の集団」として、市内を中心に事業を展開。業務ソフトウェアの設計・開発・保守や品質評価、インフラ構築などを手掛けている。
先代である父親が社長を務めていた頃は、下請け受注が中心で、客先に常駐し、オフィスすらなかった。登記上は本社所在地が自宅。社員が集まる時は、市内で会議室を借りたり、居酒屋を利用したりしていたと振り返る。
「下請けは同じようなベンダーが多い。自分が社長になってから感じていた。それに、資産が残らない」。坂本は、強い危機感から事業方針の大転換を図った。現在は、受託開発の売り上げを、総売上高の半分ほどまでに引き上げた。ユーザー企業は、「自治体関係と製造業が多い」。
「30人規模のメーカーは、IT活用がうまくできずに困っている。それも初歩的なことで、メールの仕分けやファイルの保存・整理がうまくできていなかったり…」。坂本が目指すのは、ユーザー企業にとってのかかりつけの医者のような存在。中小企業だからこそ「顔が見える」のが強みだ。(文中敬称略)
プロフィール
坂本 佳子
(さかもと けいこ)1972年、東京生まれ。1994年、青山学院大学文学部英米文学科卒業。洋書の輸入卸に入社。子どもの出産を機に退職し、2003年に父親が体調を崩したため、ライジングサンコーポレーションの社長に就任。現在に至る。