周りにあるのは農協と自動販売機だけ。岩井宏太は、道路に信号すらない岐阜の山奥で生まれた。その彼が立ち上げたALL CONNECTは、成果報酬型のWeb販売代行で目覚ましい成長を遂げるベンチャー企業だ。通信回線のほか、段ボール、白アリ駆除…と、販売代行商材は多岐にわたる。
高校2年生の時、お年玉をはたいて型落ちのPCを買い、インターネットに触れた。世界と一瞬でつながる感動が、進路を決定づけた。カヌー種目フラットウォーターの強豪選手だった岩井は、スポーツ推薦で福井工業大学に進学。プログラムやプロジェクト管理を学んだ。3年生に進んだ頃、「時給が一番高かった」という理由で始めた回線リセールのアルバイトで、正社員を追い抜いて、トップセールスを記録した。
高校生の頃から、漠然とではあるが、社長になりたいと思っていた。勝負ごとも好きで、卒業後すぐに起業。「『一番厳しい環境で勝つこと』とは何かを探った。就職せずに起業して自分の力を試すことがそれだと考えた」と振り返る。若いうちにしか試せないことがある、そんな思いも岩井の背中を押した。最初に手がけた回線のリセールは、からだ一つで始めることができた。だが住宅密集度が東京ほど高くない福井では思うように営業できず、赤字が積み重なり、2006年の福井豪雪が追い打ちをかけた。窮地を救ったのが、細々と始めたWebによる成果報酬型の販売代行だった。
全面的にWeb販売代行にシフトし、工夫を重ねながら、WebマーケティングからHP制作、成約率を高めるインバウンドのコールセンターの仕組みまでを一貫して提供するスキームを構築。売り上げは右肩上がりを続ける。
成果報酬型は、結果が出ない限り収入が得られない。かといって、「クライアントから先にお金をいただいたら、自分たち(代行業者)だけが儲ける方法を考えがちになってしまう」と、岩井は自らを戒める。クライアントがお金を出すのは、商品を売りたいからだ。「成果報酬型なら『自分第一』は『顧客第一』に直結し、自分たちの販売力も高めることができる」。常にリスクが伴う“厳しい道”だが、それでもあえて「狭き門」から入ることを選ぶ。(文中敬称略)
プロフィール
岩井 宏太
(いわい こうた)1982年、岐阜県生まれ。2004年、福井工業大学経営工学科を卒業し、同年4月に福井県でALL CONNECTを設立する。Web販売代行事業で業績を伸ばし、設立5年目で売上高20億円を達成した。