直販の代名詞ともいえる「デルモデル」。2007年に創業者のマイケル・デル氏がCEOに復帰し、パートナー戦略を打ち出してから約3年が経った。しかし、それでも「受注生産で直販」をイメージする人が多いだろう。その印象を払しょくしようと、ブランド戦略を展開する女性マーケティング担当者がいる。SMBマーケティング本部に籍を置く木口弘代シニアマネージャーだ。
「『デル=ソリューションプロバイダ』。多くの人がすぐにそんなふうにイメージできる環境をつくるのが私の役目」。淡々とした口ぶりだが、その仕事をどこか楽しんでいるような表情で木口はこう語っている。
木口のデル在籍期間がまだ1年と聞いて驚いた。そして、マーケティングを専門に担当するのは今回が初めてと聞いて、記者はさらに面食らった。BCNが今春に開いたx86サーバーの上位5社が集まった座談会で、競合のキーマンが揃うなか、「デルは後発。でも、遅れているからこそできることがある」と、堂々と戦略を語った姿を知っていたからだ。
木口のこれまでの道のりを聞いて、新米のマーケッターとは感じさせない理由がわかった。木口は多くの大企業でさまざまな経験を積んでいたのだ。例を挙げれば、マイクロソフトではコンサルティングサービスを立ち上げ、NTTコミュニケーションズでは新サービス開発を担当。大手通信キャリアのKVHでは、経営に近い立場でビジネスプランニングを手がけた。その多彩な経験が、現在の木口を形づくったとみる。
「規定路線で成長させるよりも、何かを変えて伸ばすほうが性に合っていると思う」。大きな戦略転換を図るデルは、そんな木口にとって格好の職場であり、デルのマーケティング部門にとって、多彩なキャリアをもつ木口は、最適な人材といって間違いないだろう。(文中敬称略)
プロフィール
木口 弘代
(きぐち ひろよ)東京都生まれ。京都大学大学院農学研究科卒業。1991年にダウ・ケミカルジャパンに入社。97年、ブルームバーグに移り、ITヘルプデスクマネージャーを務める。99年、UUNET Japanに移籍してITネットワークエンジニアとして業務に従事。03年、NTTコミュニケーションズでITMS事業部認証基盤サービス部門担当課長。06年、KVHで経営企画部シニアマネージャ。08年、マイクロソフトに移籍。09年、デルに移り現職。