中国で最大手の検索サービス企業として名を轟かせている百度(バイドゥ)。日本では後発で、ヤフーやグーグルなど米国企業に遅れを取っていることは否めない。そんななかで、「日本ならではのサービスで、他社に負けない地位を築く。そして、そのサービスを世界に発信する」と闘志を燃やす人物がいる。バイドゥ日本法人でモバイル検索プロジェクトリーダーを務める井上洋信である。
バイドゥは、サービスの多くを基本的に中国本社で開発している。しかし、モバイル関連サービスに関しては、フロントエンドの部分を井上が率いるチームで手がけている。「ほかの国と比べて、日本は携帯電話に関しては特殊。日本で進めていくことが重要だ」と力説する。確かに、通信事業者主導の市場というのは、中国をはじめとする諸外国とは異なる。また、「日本人は『コミュニケーション=携帯電話』の文化が根づいている。だからこそ、日本発の新しいサービスが生まれやすい」と捉えている。
学生時代は、産業用ロボットを専攻。しかし、「多くの情報を収集・発信できるインターネットは、消費者の生活を豊かにする。だから、気になっていた」そうだ。学生時代にプログラミング技術を習得。「卒業したらウェブサービスに携わる」ことに決めた。卒業後は、業界大手のヤフーに入社し、ウェブエンジニアのノウハウを吸収する。
バイドゥに入社したのは、「井上(俊一社長)を慕って」という理由のほかに、「チャレンジできる」と判断したため。今は、技術やインターフェースを含め、さまざまな角度からモバイル端末向けに最適なサービスを創造するためのアイデアを捻り出す日々を送っている。(文中敬称略)
プロフィール
井上 洋信
(いのうえ ひろのぶ)1979年、東京都生まれ。成蹊大学大学院工学研究科卒業。05年4月、ヤフーに入社。検索事業部でウェブエンジニアとして、大規模データマイニングによる関連検索ワードなど検索支援モジュールの開発や改善に携わる。09年6月、バイドゥ入社。モバイル関連事業を手がけていく「Baiduモバイル検索プロジェクト」の立ち上げを担当し、サービス開発に従事する。10年7月、モバイル検索プロジェクトリーダーに就き、現在に至る。