「自分自身はけっして優秀な人間ではないと思っている。だけど、具体的な目標を決めて実行すれば、時間がかかったとしても、必ず達成できると信じている」。高校を卒業した後に渡米し、7年をかけてプライベート・スクールや大学で英語を学んだ。そのことを通じて、根気強さこそが重要だと実感した──。
WAN最適化のソリューションを展開するリバーベッドテクノロジーでマーケティングマネージャーを務める伊藤信は、積極的に動くタイプだ。「自分から何かをやらなければ面白くない」。米国でスカウトされ、帰国して就職したシスコシステムズでは、入社してから4年弱で、主体的な行動ができる範囲の狭さを痛感し、退職を決めた。転職先は、伊藤ともう一人だけで切り盛りするベンチャー企業だった。この会社は居心地がよかった。何よりも、「一人でお客様のところへ行って、直接、話ができる」ことに充実感を覚えた。
そして、再び大きな転機が…。2007年、ほとんど未経験の分野だったリバーベッドのマーケティングマネージャーに就任したのは、WAN市場の発展に大きな可能性を感じたことが動機だった。「100回やって、はじめて10回成功する」というのが、伊藤流の仕事のスタンスだ。伊藤がリードして毎年開催するリバーベッドの販売パートナー/ユーザー企業向けセミナーの参加人数は、最初の100名から今年は250名へと急増した。
これから挑戦していくのは、再び海外。「今後は、海外で日本のIT製品についてマーケティングしたい」というのだ。「数年後に、家族を連れて海外へ渡り、子どもたちに、日本とまったく違う所でも世界が動いていることを見せてやりたい」と抱負を語る。(文中敬称略)
プロフィール
伊藤 信
(いとう まこと)1975年、愛知県生まれ。2001年、米ジョージ・メイソン大学卒業後、シスコシステムズの日本法人に入社。ITベンチャー数社でSEやテクニカル・コンサルタントなどを経験し、07年にリバーベッドテクノロジーへ入社。同社でマーケティングマネージャーに就任。