高校を卒業して、目指したのはサッカー選手だった。しかし、挫折。徐日柱は、無我夢中で自らの進むべき道を探ってきた。
徐が設立したシステムシェアードは、ソフトウェアの受託開発や教育・研修事業を手がけている。「ここに至るまでに20ほどの職種の仕事を経験した。なかでも、IT業界は自分の成長を実感できるという魅力を感じた」。システムエンジニアとしての経験を積んだ後、仲間たちとエーディーエーという会社を起こし、自社パッケージの販売に乗り出した。しかし、事業は順風満帆とはいかなかった。「まったく儲からず、やむなく建材やクッションマットレスなどの物品販売を始めた」。事業の方向転換を経て、経営が軌道に乗り始めたのと裏腹に、心のなかは満たされない。IT業界に戻りたいという思いは募る一方だった。
システムシェアードを設立したのは、そんな願望があったからだ。新会社の設立に際して、「儲けることばかりが頭にあった」ことを反省し、企業の存在意義を考えた。「私たちは、大切な人たちの豊かさを追求します」。これが新たに掲げた企業理念だ。社員と試行錯誤を重ねながら、理念の実現に取り組んできた。
社員は、自律や喜び、成長など、行動基準10項目から最大3項目を選択し、最高のイメージの達成を目標に設定。それぞれの項目では、理想モデルとなる人物を据えている。目標管理のために、客先からの評価や業務内容を盛り込んだ「濃い月報を提出させている」。
「問題が起きた時がチャンス。プラスのほうに目を向けるという気持ちの切り替えができるから」。逆境とぶつかってきた徐にとって、前向きであることが仕事の原動力となっている。(文中敬称略)
プロフィール
(JO IRUCHU)千葉県松戸市生まれ。在日コリアン3世。2004年、エーディーエーを設立。07年、システムシェアードを設立。ウェブシステムの開発と研修事業を手がける。独自開発した自社パッケージで、企業からの離職者を支援すべく奮闘中。