広報部門をもっていない会社、あるいは知名度不足で伸び悩んでいる会社に対して、PRのノウハウを包み隠さず提供し、その会社の広報機能を育てる──広報のコンサルティングを本業とする岡田直子が本領を発揮するシーンである。岡田は、先頃設立されたオープンソースの適正利用を促す「オープンソースライセンス研究所(OLL)」の理事を務めている。
社会人としての出発点は、サンマイクロシステムズの営業担当だった。独立しようと考えていたので、経営を学ぶために退社。インターネット系ベンチャーでは広報機能の立ち上げに従事した。会社の事業を整理・点検して、アピールすべきところを引き出す活動に、地道に取り組んだ。徐々にメディアに取り上げられはじめ、知名度が高まって社員のモチベーション向上につながった。成功体験が現在の仕事に直結しているのだ。
独立後、ベンチャーを支援している総務省の外郭団体の要請を受けて、マーケティングについて講演を行ったのがきっかけとなって、OLLの所長であるパドラックの杉本等代表取締役と出会った。杉本氏から「OLLの発足に携わらないか」と誘われ、参画した。本業の傍ら、会員獲得の資料作成や勉強会の開催など、精力的に活動している。岡田は「名だたる企業の、豊富な経験を積んだ方たちと出会うことができた。参加してよかった」と満足げだ。
OSSを活用する技術者が増える一方で、著作権がらみのトラブルが続出し、適正利用の啓発が欠かせなくなっている。岡田は、そうした啓発活動の一翼を担っている。「現業の強みを生かして、PRに力を入れたい」と意気込みをみせる。(文中敬称略)
プロフィール
岡田 直子
(おかだ なおこ)広島県出まれ。サンマイクロシステムズを経て、ソフトウェア開発のベンチャー企業に転職。並行してMBAを取得。その後、アクシブドットコム(現ECナビ)に入社。経営本部長、広報室長を経て09年3月末に退社。同年7月にネットワークコミュニケーションズを設立。11年5月、オープンソースライセンス研究所の理事に就任。趣味はシュートボクシング。アマチュア大会で準優勝する腕前だ。