ステップワイズは、中小企業向けのソフトウェア開発を手がける名古屋発のベンチャーだ。マイクロソフトのクラウドサービス基盤「Windows Azure Platform」上で、販売管理アプリケーションの「VENTA for Silverlight」を提供。世界を見据えて、製品開発に取り組んでいる。創業者でCEOを務める長谷川誠は、持ち前の人当たりのよさを生かして、勉強会やセミナーを通じて築いた人脈とメディアへの露出を事業の拡大に結びつけてきた。
「創業から7期目だが、売り上げが落ちたことはない」。競争力の源泉は、長谷川をはじめとする従業員の強い好奇心だという。社内には、マイクロソフトのXboxやソニーのPlayStationといったゲーム機も並んでいる。「常に最新の技術に触れてこそ、独創的な発想が生まれる」と長谷川はいう。
創業の経緯は、少し変わっている。大学卒業後は、大手メーカー系システムハウスで官公庁向け業務システムの開発に従事していた。業務内容や給与の待遇に不満はなかったが、「顧客に対して、仕様変更で何百万円も請求するような商売のやり方に疑問に感じて、退職を決意した」。その後、「人と接するのが好き」「お客さんの顔が直接見える」などの理由で、メロンパンの移動販売に着目。そのままいけば、パン屋になっていたかもしれないと笑う。しかし、フリーエンジニアとしての業務依頼が舞い込み、「次第に個人でのビジネスに限界を感じるようになって、ステップワイズを立ち上げた」と経緯を語る。
この個性的な経営者のモットーは、「遊びも仕事も真剣に」。学生時代はギャンブルに熱狂し、現在はゴルフと釣りを趣味としている。(文中敬称略)
プロフィール
長谷川 誠
(はせがわ まこと)1977年10月、愛知県生まれ。北海道情報大学情報学部情報学科を卒業後、愛知県内のメーカー系システムハウスに入社。5年間、官公庁を中心にオフィスコンピュータ(オフコン)システム、オープン系システムの開発に従事した。05年1月、ステップワイズを設立して代表取締役に就任。08年5月からCEO。